pixta_17251274_M (写真=PIXTA)

結婚・教育・マイホーム購入・定年退職後の生活などお金の問題は誰にでもついてまわる。人生の目標をかなえるには、実現までの計画をたて、資金を準備しておくことが大切だ。特に定年退職後のマネープランについては、入念に準備しておきたい。セカンドライフの過ごし方は人それぞれであるが、楽しく豊かなセカンドライフを満喫するためのマネープランの考え方を紹介しよう。

まずは資金を準備する明確な目的を持つことが大切

セカンドライフのマネープランを立てるには、まずは定年退職後をどう過ごしたいかを考える。そうすることで、今の資産と年金の受給見込み額から希望のセカンドライフを過ごすためにはいくら資金が不足するのかが見えてくる。

何となく老後が不安だからと漠然と資金を準備するのではなく、資金を準備する目的を明確にすることが大切である。明確な目的を持つことで「いつまでに」「目的までの期間」「いくら貯めるか」がはっきりとする。

仮に50歳の人が60歳までにセカンドライフのための趣味や娯楽資金として500万円を準備しておきたいなどの目的を持つとする。そうすると60歳までの10年間で500万を準備することが明確になる。

次に500万円をどのように準備するか。まずは、資産運用の基本として押さえておきたいのが「分散投資」という考え方である。50代は、30代や40代と比較すると投資できる期間は短くなるので資産運用で大きな失敗をするとリカバリーがしづらい。教育資金や住宅資金のメドが立ち、老後の資金準備にお金を回せる余裕があるとしても株など1銘柄を1度に投資するのではなく、「銘柄を分散」すると同時に「時間も分散」することも心がけたい。

分散投資には投資信託がオススメ

では50代からはどのような資産運用が考えられるか、具体的に見ていきたい。

まず、先に述べた「分散投資」にオススメなのが投資信託である。投資信託は、たくさんの人から集めたお金をひとつにまとめ、ファンドマネジャーと呼ばれる運用担当者が数多くの株式や債券などに投資し、そこで得た利益を投資した金額の割合に応じて配分するものだ。ファンドマネジャーが投資した数多くの株式や債券などは、それぞれが違う動きをするので分散効果が働き、リスクを少なくすることが期待できる。

資産運用を検討しているが、さすがに自分一人だけでは数多くの株式や債券に分散投資するだけのお金がない……投資信託はそんな人にオススメの金融商品といえる。また、投資信託は毎月少額の資金で購入することで投資する「時間を分散」する効果も期待できる。セカンドライフまでの時間を見据えた長期運用にも有効といえるだろう。

節税効果の高い個人型拠出年金も検討したい

加えて、セカンドライフの資産形成として検討したいのが「確定拠出年金」である。「確定拠出年金」には自分で掛け金を負担する「個人型拠出年金」と会社が掛け金を負担する「企業型拠出年金」の2種類からなる。

「個人型拠出年金」では掛け金全額が、「企業型確定拠出年金」では企業の掛け金に加えて自分で掛け金を支払う分(マッチング拠出)について、掛け金が所得控除となり、所得税と住民税を引き下げる節税効果もある。

さらに運用中は運用益も非課税となるので、セカンドライフの資金を貯める方法として、確定拠出年金ほど有利な商品はないといえる。確定拠出年金の運用商品を大きく分けると、①定期預金、保険などの「元本保証型」と、②投資信託の「元本保証のないもの」に分けられる。

「攻め」と「守り」のバランスが重要になる

投資信託と個人型拠出年金は、いずれも長期間で運用するのに適した商品といえる。では、この2つを活用して、セカンドライフに向けたマネープランをどう考えれば良いのだろうか?一言でいえば、50歳からのマネープランは時間をどこまで有効に活用できるかが肝となる。

50代前半と後半では定年退職までの残された時間が異なるため、リスクのとり方も当然違ってくる。基本的には、投資信託である程度のリスクをとりながら利益を追求するとともに、「元本保証型」の個人型拠出年金で節税しながら資産を守る作戦であるが、この2つのバランスのとり方が重要だ。

たとえば、50代前半に投資信託で得た利益は、50代後半を迎えたところで少しずつ個人型拠出年金の保険商品や定期預金などに預け替えるなどのバランスを調整することも必要である。スポーツでいえば投資信託は「攻め」、元本保証型の個人型拠出年金は「守り」であり、定年退職という「試合終了」が近づくにつれて攻守のバランスを調整しながら確実に勝利をものにしたい。

ワクワクするようなご褒美を考えよう

さて、ここまで投資信託と個人型拠出年金を活用したマネープランの考え方を紹介してきたが、一番大切なのは具体的にどんなセカンドライフを送りたいか、できるだけ前向きにイメージすることである。定年退職後の自分にどんなご褒美を用意したいか?孫との時間を大切にしたい、世界遺産を巡りたい、陶芸教室に通いたい、体力が続くかぎりゴルフを続けたい、夫婦でゆっくり過ごしたい……などワクワクするようなご褒美を考えよう。

高齢化が進む日本社会では、セカンドライフに向けたマネープランはこれから益々重要になってくる。充実した楽しいセカンドライフを実現するためにも、来るべき定年退職までに残された時間を有効に活用したい。