ショーケース・ティービー(・マザ),森 雅弘社長
(写真=株主手帳/ショーケース・ティービー 森雅弘社長)

今年3月に新規上場したショーケース・ティービーは、年商10億未満の小さな会社だが、3大メガバンクなど、さまざまなWEBサイトに6000契約以上の導入実績を持つ、eマーケティング事業だ。

「見やすく・わかりやすく・入力しやすく」を目的としたWEBサイトを最適化するサービスを提供している。今回は、同社を率いる森雅弘社長に、同社サービスが選ばれる理由について迫った。(記事=株主手帳2015年11月号掲載)


ショーケース・ティービー(<3909>・マザ)

今年3月、東証マザーズに新規株式上場したショーケース・ティービーは、顧客WEBサイトの利用ガイドを務める、IT業界の黒子的企業だ。具体例を挙げて説明してみよう。

某大手銀行のWEBサイト入力フォーム画面を開く。すると、必須項目は赤字で注釈が入り、未入力の項目には色がつく。記入漏れがあれば即座に分かるようになっていることなど利用者のストレスを著しく軽減している。これは、同社サービスのほんの一部に過ぎない。

「人が機械に合わせて我慢することは、非常に不自然なことなんです。同社サービスの基本は〝おもてなし〟。日本の実店舗で行われているようなきめ細やかなサービスを、インターネットで可能にするのが我々の事業です」と森社長は語っている。

同社の提供するサービスは大きく分けて3つだ。1つ目は先にも取り上げた入力サポートサービス。2つ目はページ案内サービス。サイトのトップページでユーザーの検索履歴や閲覧ページなどから関心の高そうな商品の広告を表示したりするものだ。3つ目はスマートフォン対応サービス。パソコンで見られることを前提とした画面を、小さな画面でも見やすいようにレイアウトを組み替えたり、拡大したりする。

同社サービスは地味ながらも、利用者のストレスを軽減することで、入力作業を途中で取りやめないようにし、サイトの成約率を高めることに成功している。ネット通販を始め、金融・人材・不動産事業などWEBサイトで。特に金融分野は入力支援サービスを3大メガバンク含め提供。大きく収益に貢献している。

同社のサービスはパッケージ化されており月額課金制。一案件の売り上げこそ小さいが、コストが安く利益率は高い。営業利益率は部門単体で70%を超えている。ストック型なので、収益基盤の安定性も高いのが特徴だ。

特許戦略で脇を固めている点も、同社の抜かりのなさだ。3つの基幹技術はサービス開始時に特許申請、特許取得済みである。今期は中間業績が計画値超過と足元は堅調。通期予想に対して達成トレンドで推移している。業績の数値は以下の通り。

◆2015年12月期[第2四半期業績]

売上高:5億6900万円(前年同期比21・2%増)
営業利益:1億4100万円(同16・3%増)
経常利益:1億2700万円(同5%増)
四半期純利益:7700万円(同△4・8%増)

◆2015年12月期[通期業績予想]

売上高:12億500万円(前期比22・5%増)
営業利益:2億6100万円(同4・4%増)
経常利益:2億6100万円(同4・8%増)
当期純利益:1億5600万円(同1・9%増


「必要は発明の母」

社長は石川県加賀市の生まれ。地場産業である繊維関連の自営業を営んでいた父の影響もあり、独立の思いが強かった。金沢大学大学院機械工学科を卒業後リクルートに就職。当時リクルートは、自社スーパーコンピュータ4台を用いた新規事業部門立ち上げた時期、森社長の入社後初の配属は同部門となった。

広告営業や情報誌の副編集長など多岐にわたる事業を8年にわたり務めノウハウを蓄積。96年に自らが手がけてきた情報誌の中止が決定されたのをきっかけに独立を決意した。ショーケース・ティービーの前身である広告会社フューチャーワークスの代表に就任した。

この時、顧客として出会ったのが、後に会社を合併させ、共にショーケース・ティービーを立ち上げる永田現取締役であった。社長とはいえ、社員は派遣社員が3~4人いるのみ。孤軍奮闘の日々であった。

完全受託型のビジネススタイルで、広告にかかわることならイベントプロデュースから運営まで何でもこなした。蓄積された経験と疲労から、プロダクトアウト(提案型)への事業方針転換を計画。パッケージ販売を基本とした高収益体制を目指す方針が固まった。2005年、永田氏の動画制作会社との合併によりショーケース・ティービーが発足した。

製品第一号となったのが、商品説明動画作成「ベストセールス24」。現在の事業方針の足掛かりとなった事業である。

実際にWEBサイトに載せ、視聴率を計測すると、殆ど見られていないことがわかった。原因は掲載されている商品のページまでサイト訪問者が来ていないということ。

こうして生まれた、主力サービスの一つ「ナビキャスト」。WEBサイト訪問者に対し、訪問者の閲覧履歴や検索データをもとに関心度の高いページの案内を表示するというサービスだ。

銀行をはじめとする大企業での採用が急速に広がったのには理由がある。大規模改修が不要という点だ。通常、サイトの改修となれば、システムそのものに対して手を入れる必要が生じることになる。だが同社は、遠隔からのサービス、言わば「外付け」化することで、大きな障壁をものの見事にクリアしたのである。

完成してから販売実績が右肩上がり、資金調達も楽になるなど、事業環境は著しく改善した。

取引先が増えれば、情報も集まってくる。「ナビキャスト」を導入していた企業からの聞き取りで、入力のわずらわしさから、購入を中止する事例が多いとの意見が出たのだ。測定を行ったところ、入力段階までたどり着いた顧客の50%が脱落していたことが明らかとなった。「フォームアシスト」の開発はすぐに決定し、現在では導入3000以上のうち93%で平均6・3%の成約率向上を誇っている。

その後、スマートフォンの普及とともに、PCサイトをスマートフォンで表示する際に見やすい形式に組み替える「スマートフォンコンバータ」を開発。現在の人気商材3本が揃ったことで明確な成長軌道を描くこととなった。


新事業領域開拓へ

上場を果たした現在、成長施策として挙げられているのが、WEBサイト上での接客、つまり「おもてなし」機能の提供だけでなく、WEBサイトへの集客や実店舗との相互送客などオムにチャネル支援やO2Oのソリューション提供を目指す。

現在は提携・資本参加などで協力企業を増やし、準備を整えつつある。今後の成長に注目したい。(記事提供: 株主手帳 )

【Profile】 森雅弘


1963年石川県出身。金沢大学大学院(機械工学研究科)修了。1988年リクルート入社後、情報ネットワーク事業部門にてスーパーコンピュータのタイムシェアリングの営業、情報誌「月刊パッケージソフト」の広告営業、副編集長などを務める。1996年、リクルート退社後、広告代理店業務から事業を開始。株式会社フューチャーワークス代表に就任後は、IT業界に特化したセールスプロモーションの専門企業として、大手クライアントを対象とした事業を拡大。2005年、株式会社スマートイメージを吸収合併し、株式会社ショーケース・ティービーに社名変更。代表取締役に就任。

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