(写真=PIXTA)

2015年12月1日から従業員数50人以上のすべての事業所に、年に1度、医師などによる社員の心の健康状態をチェックする義務が課せられた。同時に各企業は、ストレスチェックの実施時期、対象人数、受検人数、面接指導の実施人数の4点について、年に1度労働基準監督署に報告する義務を負う。


「ストレスチェック」とは

ストレスは元来物理学の用語で、物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態のことだ。これを風船に例えれば、風船を指で押さえる力がストレッサーで、ストレッサーによって風船が歪んだ状態がストレス反応と言うことになる。

医学や心理学の領域では、心や体にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、ストレッサーに適応しようとして、心や体に生じたさまざまな反応をストレス反応と呼んでいる。だから「ストレスチェック」と言うのは、企業が委託した医師や保健師などの専門家が労働者に対して心理的な負担の程度を把握するために行う検査のことを指している。

労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止し、職場環境の改善等に繋げるための仕組みづくりを整えることを主たる目的とし、さらには過重労働対策や医療費の削減も政府推進の目的となっている。

企業側にとっても、メンタル不調による従業員の業務効率低下や代替人員の確保などを避けることができ、生産性向上へ繋げることができると期待されている。


なぜ今「ストレスチェック」なのか

「ストレスチェック」が義務化されることになった最大の要因は、厚生労働省が試算する、「自殺やうつ病による経済的損失が年間約2兆7000億円に上る」という実害を看過できなくなったからだろう。
世界保健機関(WHO)が発表した2012年の「世界の人口10万人当たりの自殺者率」によると、日本は世界のワースト20に入る17番目の18.5人で、米国の12.1人やフランスの12.3人に比べれば約1.5倍、ドイツの9.2人の倍以上にもなる。

こうした状況は明らかに国家の損失に直結するものであり、何らかの対策が迫られているのが現実だ。

自殺の原因は多岐にわたるが、そこに「ストレス」の占める比重は無視できない。「ストレスチェック」が義務化されたのも、半ば当然の結果だったとも言える。

以下には、投資家として注視しておくべき直接的な関連銘柄をあげた。しかし、スポーツや読書、旅行やカラオケなどなど、自分のストレス解消法がそのまま有望銘柄につながる可能性があり、興味を持って他の銘柄探しも楽しんでいただきたい。


アドバンテッジリスクマネジメント <8769>

企業のメンタルヘルスケア対策ソリューションを提供している同社は、業界トップシェアを誇る。2015年9月には、ストレスチェックサービス強化を目的に全国45都道府県70拠点のメンタル専門医療機関・医師と提携したと発表した。


ベネフィット・ワン <2412>

福利厚生業務の運営代行サービスを柱とする同社は、「ベネフィット・ステーション」導入企業の従業員を対象に、ストレスチェックサービスの提供も行っている。


TDCソフトウェアエンジニアリング <4687>

金融関連ソフトの開発に強み持つ独立系システム・インテグレーターである同社は、金融や一般企業向けにクラウドによるストレスチェック支援システム(M-Check+)を販売している。


オービックビジネスコンサルタント <4733>

企業向けストレスチェック対応のオールインワンサービス提供を開始する一方、同社の柱となる「勘定奉行」未利用事業者への支援も行う。


ミロク情報サービス <9928>

会計事務所向けや中堅・中小企業向け統合業務ソフトの開発・販売を手がける同社は、人事給与システムでメンタルヘルスにも対応する。


NEC <6701>

グループ会社のNECソリューションイノベータがメンタルヘルスケアサービスを手がける他、ストレスチェック義務化対策システムを提供する。(ZUU online 編集部)

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