メルカリ、フリル、LINE MALLなどのフリマアプリ市場が拡大している。消費者分析企業「ニールセン」が15日に発表したインターネットサービス利用者数のランキングの中では、2015年最も利用者増加率が高かったアプリは「メルカリ」で、前年と比較して3倍以上の利用者数となったという。ちなみにメルカリの平均月間利用者数は491万人で、SmartNews(455万人)やYahoo!天気(438万人)を上回っている。
フリマアプリは、通勤中や寝る前でも手軽に取引ができることから人気を後押ししているようだ。ただ、取引に夢中になりすぎて利用額が年間20万円を超えそうな人は少し税金のことを気にしたほうがいいかもしれない。フリマアプリやヤフーオークションなどのオークションサイトで得た収入に対して、場合によっては所得税がかかるためだ。もし確定申告をしなければ必要以上の税務署に支払わなければいけないので注意が必要だ。
所得税がかかるもの、かからないもの
所得税は原則としてどのような所得にも課税される。サラリーマンの給与所得、個人事業主の事業所得をはじめ、利息や配当金、いま話題のふるさと納税による特産品や、警察に届けたが持主が表れず自分のものとなった拾得物までもが課税対象となる。
例外はないのかと言うと、いくつか所得税を課さないものもある。例えば宝くじの当選金は「当せん金付証票法」という法律に基づき、所得税も住民税も課されないこととされている。ほか、失業保険の受給や、損害を補填するための受取保険金、一定範囲内の通勤手当、ノーベル賞やオリンピック・パラリンピックでの賞金は、社会政策上の観点等から所得税を課さないことになっている。
では、フリマアプリやオークションサイトで得た収入はどうか。結論を先に言うとフリマアプリやオークションサイトでの売買は、生活で使用しているものの売買なら所得税はかからず、それ以外は所得税がかかることになる。
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所得税がかからない「生活用動産」とは?
副業や趣味でオークションサイトやフリーマーケット等で物品を販売して得た金銭には原則所得税がかかり、確定申告が必要になる。しかし、例外として「生活用動産の譲渡による所得」は所得税を課さないと所得税法第9条1項9号で定められている。
国税庁のホームページには具体的に、
・自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡
は「非課税」、
・貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得
は「課税される」と記載されている(タックスアンサーNo.3105)。
ここでポイントとなるのは「生活用動産」が何を指すかということだ。オークション等で販売するものが「生活用動産」であれば、どれだけ利益が出ても所得税は課税されない。
申告が必要ない人の条件は?
何をもって「生活用動産」とするかは明確にはなっていない。使用状況や背景に合わせて判断されることになる。
ざっくり言えば、自宅で使用されていた家具、通勤用車両、衣類を取引した場合、所得税はかからないし、売るために仕入れたようなものや30万円を超えるアクセサリーなどは所得税がかかり、確定申告が必要となる。
ただし、給与を一か所のみから受けており、オークションでの所得(収入から経費を引いた利益)が20万円以下の場合は、確定申告をする必要はない。一方、収入がオークション以外にない人や、不動産収入など給与以外の収入がある人はオークションでの所得が20万円以下でも所得税がかかる。
もし確定申告をしなかった場合、税務署から調査が入り、所得税が課されてしまう。後から課税されれば、加算税や延滞税などのペナルティがかかり本来払うべき金額よりも多く支払わなければいかないことになる。そうならないためにも、売ったものが生活用動産であることや、経費がかかって所得が20万円以下であることの証明を残すなど、判断基準と根拠を明確にしておくとよいだろう。
新井 良平 経理ライター
中小企業から上場企業まで規模を問わず経理や税務を経験。日々の経理処理から開示業務、IFRS、内部統制、経営分析、税務申告、移転価格など幅広い経験を基に複数メディアで記事を執筆。
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