建デポ,小森哲郎氏
(写真=リフォーム産業新聞/建デポ 小森哲郎社長)

64店舗展開する住宅資材のプロショップ「建デポ」が拡大に向けて動きだした。LIXILの一事業だったが、10月1日に分社化し「株式会社建デポ」を設立。社長にはアスキー、カネボウの再生で手腕を振るった小森哲郎氏が就任し、「5、6年で、FC含めて1000億~1500億円の売り上げを目指す」と意気込む。


開始6年で300億

◆資本金の出資比率はユニゾン・キャピタルが66%で、LIXILが34%。今分社化され、小森さんが建デポの社長になられたのはどのような背景があったのでしょうか。

一度外へ出て、全く新しい目で直すものは直し、仕組みを整えようということです。それと、建デポは営業時間やパートさんの位置付けなど、他のLIXILの事業と違っていて、縛りや制約がなくなった方がいいということもありました。

◆建デポはプロ向けの資材ショップで、LIXILの一事業として2009年にスタートしました。売上高は300億円ですが、営業利益はまだ黒字ではありません。

順調に売りも収益も改善してきています。ただスタートから6年で300億はすごい。この事業には磨けば光る潜在力があります。海外のホームデポなんかを見てますとね、かなりポテンシャルがある。潮田さん、LIXILには先見の明があります。

◆小森社長はマッキンゼーのコンサルタント出身で、カネボウやアスキーの社長も務め企業の再生に腕を振るってきました。

「プロの立て直し屋さん」です。

◆プロから見て今の建デポの状況は。

組織を見るとき、体育会系か、非体育系か、農耕型か狩猟型か、というふうに見る。

建デポは体育会系で、狩猟型で、獲物を探して、それで伸びていた。ハンティングのノリはいいけれども、店の成長性というものは最初は伸びても5年も経てばだんだん寝てくる。競合が強ければ前年割れ。だから体育会の狩猟だけでは無理。そのいいところは残しつつ、非体育会系の農耕型で、解像度を上げて細かいことをやっていかないといけない。

気合だけでも困るわけで、どう改善し、どう仕組み化するかといったことを考える。そして自分の人件費に合うかどうかを考えて、「仕事」をしましょうと。「作業」はやっちゃダメ。点数にすればまだ30点。


問題を問題と言える文化

◆良い組織にするには。

組織全体の「気づき」を高めて、問題を問題と言っても大丈夫なカルチャーを作り、問題をつぶしていくことです。実は、今後2~3年で取り掛からないといけないものを工程表にしました。一個一個がプロジェクトになっていて、外部のリソースを入れて、3年計画でつぶしていく。

◆それはカネボウの再生と同じ考え方でしょうか。

カネボウは小さな事業をいっぱいもっている会社で、コストも大きな塊がない。日産のゴーンさんのように部品のコストをたたけばあがるというのではなくて、いろいろ「粒度」の小さいものをやらなければならなかった。

この場合、トップが「それやれ」ではなく、現場で気づいて、そこから問題解決していく。その当時は50~60の粒度があった。それを良くするためには自律的に自分で問題を見つけて、職位に関係なく言えて、見える化する。そしたら気づきが増して、課題をがーっとやったら、利益率が2年で3倍くらいになった。