米連邦準備理事会(FRB)がついに、2008年のリーマン・ショック以来の不況への緊急対応として実施してきた金融緩和を終了した。同銀が利上げに踏み切った背景には、比較的に好調に推移してきた米国の経済指標などもあるが、円ドル為替への影響にも関心が高まっている。
2016年には、FRBはさらなる利上げを段階的に実施していくとみられているが、そうした動きは為替にどのような影響を与えるのか、エコノミストに対して見方を尋ねた。今回は、ブルームバーグの増島氏の見方を紹介する。
予想通りでないが「想定内」のFRB利上げ
ブルームバーグではもともと、米FRBが2016年1月に利上げするとの見方をメインシナリオに据えていた。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げに踏み切らず越年で利上げを実施すると見ていた一方で、12月の利上げはサブシナリオだと想定していた。その点では、高い角度で予測していた動きではなかったものの、ブルームバーグにとっては「想定の範囲内」だったと言えるだろう。
ただ、大きな流れとしては市場の大方の予想通りの、FRB利上げだった。もともと、12月のFOMCでの利上げを想定していたとみられ、大きな混乱もなく落ち着きそうだ。他方で、イエレンFRB議長が積極的に働きかけて下地を準備し、その上で、今回の決断を下した模様で、焦点は今後、「FRBがどのようなペースで利上げしていくか」に移ると言えるだろう。
現状では、FOMCを踏まえて公表された経済見通しによれば、2015年末の政策金利が0.4%、2016年末は1.4%、2017年末は2.4%となっている。つまり、1年あたり1.0%ずつ金利が上昇するとみられており、0.25%ずつの金利引上げになるとすれば、年あたり4回ずつとなる計算となり、為替にどの程度影響するのかも注目される。