それに対して、マクドナルドには「安さ」や「早さ」を求める消費者が来るとすれば、店舗の雰囲気を変化させたとしてもマクドナルドの主要なターゲットを店に呼び戻す呼び水となる可能性は低いといえないだろうか。

ブランド回復には食材の「日本化」も必要か?

もしマクドナルドがブランドイメージの回復を図るのであれば、店舗デザインの変更よりも「食の安全」をアピールできるように、原材料を国産に切り替えることも一つの方策かもしれない。

というのもそもそも、マクドナルドの主要な顧客層であるファミリー層がマクドナルドから逃げてしまったのは、期限切れの鶏肉を使用していた問題や異物混入問題によって、子供の口に危険な物を入れたくないと思っている「食の安全」に敏感なファミリー層がマクドナルドの商品は危ないと思ってしまったことにある。

もちろん、マクドナルドは「食の安全」をアピールするために、問題が発覚した直後に中国での生産を取りやめ、タイでの生産に切り替えるという対応を行っている。しかしながら、多くの日本人にとってアジア全般に日本よりも衛生観念が弱いという考えがあるはずなので、この対応は十分とは言えなかった。

マクドナルドから逃げ出したファミリー層を取り戻すためには、人件費などのコストがかかってしまうが、材料とその加工を全て国内で行う「日本化」を推し進める必要があるだろう。仮に、店舗に手を加えるとしても、今まで以上に店内の清掃に注意を払うことで、清潔感を出すということに力を注ぐべきかもしれない。

「日本化」の成否は譲渡後の舵取り次第

もちろん、マクドナルドがイメージ回復のために行っていることは店舗のレイアウト変更だけではない。メニューなどでも「てりやきマックバーガー」や「月見バーガー」のような日本独自の季節感や地域性を活かした新メニューを開発することを掲げてもいる。

しかしながら、こうした顧客ニーズの把握とそれを活かした商品開発や、先ほど述べた食への安心感の復活といった問題に今後、取り組んでいくのは米国本社から株式を購入した企業となる。また、ローソン <2651> を運営にも関わる三菱商事 <8058> やファミリーマート <8028> の運営に関わる伊藤忠商事 <8001> など、株式を購入する商社やファンドによってマクドナルドが提携できる企業の可能性も変わってくる。

そのため、マクドナルドの株式をどこが購入し、またどのように舵取りを行なうのか、今後しばらくは目が離せない。(ZUU online 編集部)

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