健康経営で「金利抑制」という目に見える効果
企業の従業員に対する健康管理については、2008年に特定健診・特定保健指導で、生活習慣病の予備軍とされるメタボリックシンドロームへの対策が打ち出されたことで、各企業が対策を迫られた。
さらに、15年12月から改正労働安全衛生法に基づき、メンタルヘルス対策として、事業者は医師や保健師による従業員の心理的な負担を検査するストレスチェックの義務付けがスタート。こうした制度の改正で今後、企業の健康経営にさらなる拍車がかかりそうだ。
ストレスチェックの義務化がスタートするなど、企業が社員の健康管理に積極的に取り組む必要性が高まっている。それにはコストと時間が必要になるものの、社員の健康を重要な経営資源ととらえると、生産性の向上や有能な人材の確保などが期待できる。また、健康経営の取り組みが評価されれば、融資の際に金利を優遇されるなどのメリットもある。
具体的には、「人間ドックの受診を推進しているか」「メンタルヘルス対策が適切にされているか」「労働者を有害物質から守るための対策が取られているか」「長時間労働対策が実施されているか」などの項目がチェックされる。また、それらの対策を実施するためのツールや体制の整備、健康経営を実施するためのマネジメント体制の構築なども求められる。
健康経営のメリットを考えると、生産性向上や業務効率化、企業イメージ向上など抽象的な成果を真っ先に考えてしまいがちだが、金利抑制という目に見える成果もある。企業が健康経営に取り組むメリットは大きいといえるだろう。
こうした従業員の健康にも配慮した「健康経営」の効果は、仕事の生産性の向上だけにとどまらない。健康経営の実績に基づき、銀行からの融資で優遇策が適応されるなど、企業価値をアップさせる要素としても注目され始めている。