年末年始の季節需要、インバウンド需要が下支え
現状判断DIの内訳をみると、企業動向関連(前月差+1.1ポイント)、雇用関連(同+1.1ポイント)が2ヵ月連続して前月から改善し、家計動向関連(同+3.3ポイント)は2ヵ月ぶりの改善となった。
家計動向関連は、サービス関連(前月差+1.9ポイント)、住宅関連(同+0.6ポイント)が小幅な上昇に留まるなか、飲食関連(前月差+8.3ポイント)が大幅に上昇したことが景況感の改善に寄与した。
コメントをみると、飲食関連では「忘年会シーズンであり、例年どおりにかなり忙しい日が続いている」(東北・一般レストラン)や「クリスマスとお正月シーズンだったため、普段よりもかなり多く売れた」(九州・一般小売店)といったように、年末年始の季節需要による消費拡大を改善要因に挙げるコメントが散見された。
その一方で、「飲食業界においてはまだまだデフレマインドが払拭されていない」(東北・高級レストラン)など、消費者のデフレマインドが根強く低価格志向が強いことを懸念する声も上がっている。
小売関連については、「暖冬のため防寒関連の動きが悪く、食品も食材関連が不振である」(近畿・百貨店)といったコメントのように、暖冬による冬物商材の不振を懸念する声が聞かれる一方で、「海外特選ブランドや時計宝飾品等の高額品の動きも、賞与支給やクリスマスの時期には良くなっている」(百貨店・東海)など、ボーナス・クリスマス商戦を改善要因に挙げるコメントが見受けられた。
これまで個人消費の下支えとなっているプレミアム付商品券に関するコメントについては、「プレミアム付商品券も使い切り、財布のひもはまた固くなってしまっている」(南関東・スーパー)といったように、プレミアム付商品券による消費押し上げ効果が徐々に薄らいでいる点を指摘するコメントが多い。
企業動向関連は、製造業(前月差▲1.9ポイント)が前月から低下する一方で、非製造業(同+3.8ポイント)は2ヵ月連続で上昇した。
製造業では、「消費者には節約志向が強く、販売数量等の減少が著しい。当面は回復の兆しがみえず、苦しい状況である」(東海・食料品)など個人消費の弱さを危惧するコメントのほか、「やや良くなっている業種とそうでない業種の差が大きくなっている。
特に、中国製品が破格の安さで入ってくるため、国内価格が混乱している」(近畿・金属製品製造業)といったように、中国の景気減速の影響を不安視するコメントも依然多い。
非製造業については、引き続きインバウンド需要が下支えとなっていることに加え、円安の一巡によって物価上昇への懸念が幾分和らいだことも、景況感に対してプラスに働いたようだ(最終頁の図参照)。
雇用関連は、2ヵ月連続の改善となり引き続き雇用情勢が改善基調にあることを示す結果となった。
「依然として、業種職種に関係なく人手不足が続いている。特に、介護業界では応募者を増やすのはもちろんのこと、離職者を減らすことにも力を注ぐことが増えており、例えば育児支援を充実させることなどを実施している企業がある」(南関東・職業安定所)や、「求人数が大幅に増加しているし、有効求人倍率も上昇しているため、景気は上向いている。
しかしながら求職者数は増加せず、企業からの求人依頼に応じられないことが多くなっている」(九州・人材派遣会社)といったコメントからも、労働需給の逼迫した状況が窺える。