また、2011年にも、 米国などがIFRSの完全適用に慎重路線に転じたことから、当時の自見庄三郎金融相がIFRS導入のあり方を見直す方針を突然打ち出し、日本での議論も流れが変わったということがあった。
企業経営や経済に与える影響が大きい会計基準の策定をめぐっては、IFRSの作成に対して関与を深めようと各国が動いている。その中で日本は、IFRSを策定する国際会計基準審議会(IASB)のアジア・オセアニアにおけるサテライトオフィスの東京への誘致に成功した。それだけにIFRS推進派は、国内での議論が停滞するとアジア周辺国の台頭を招きかねないと懸念している。一方、米国の動向が最大の関心事だとする経済界などの慎重派は、日本の判断においては米国の動向を見極めることが最重要だとの立場を譲らず、日本国内でも意見は交錯している。
とはいえ、日本企業でも前から先を見据えてIFRSの導入をすでに行った上場企業もある。住友商事は2011年3月期、JTは12年3月期からすでに任意適用を始めている。
ただ、上場企業全体としてはIFRSを導入している、または導入を表明している企業は少数派である。
さて、IFRSの導入にはどのようなメリットがあるのだろうか。国際的な会計基準を導入する事で、国際金融市場で共通に使用される情報開示の基準を満たすことになり、企業が国際的な統一基準によって評価されやすくなる機会を得ることになる。海外の投資家にとっては、透明性のある情報公開により企業間の比較を行いやすくなるメリットがあるのだ。また、円高が叫ばれる昨今において活発に行われるM&Aを想定した場合、いずれ買収する海外企業と会計基準を合わせることになるから、事前に国際基準に合わせておくに越したことはない。
IFRSの直接的な適用がされていなくても、各国自体の会計基準同士の差異をなくしていこうという取り組みも行われています。
いずれにしても、日本企業の会計基準の国際化は避けられない流れは進んで行くことは間違いなさそうです。
BY S.R