先週発表された主な経済指標

◆連邦公開市場委員会(FOMC)

日本時間28日の午前4時に連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表され、市場の予想通り金融政策は現状維持となりました。注目されていた声明文の内容は、世界経済や金融市場への配慮を示す文言が追加されるなどしたものの、利上げペースの鈍化を示唆してほしい市場の期待を満たさず、ダウ平均は発表後に大きく下落しました。

今回の声明文では3月のFOMCでの利上げ可能性が完全には排除されませんでした。ただ、実際に3月利上げに踏み切る可能性はかなり低いとみられます。その理由は米国経済があまり芳しくないからです。

声明文の冒頭に「12月に経済成長が鈍化した」とFRB自身が記載し、29日に発表された10-12月期のGDP成長率が0.7%にとどまるなど、過熱からは程遠い経済状況の中でFOMCが3月利上げを強行する可能性は低いと考えています。

今後発表される主な経済指標

◆1月 非農業部門雇用者数 市場予想 +19.0万人 前月 +29.2万人
失業率 市場予想 5.0% 前月 5.0%

2月5日に1月の雇用統計が発表されます。現在の米国経済は、労働関連の経済指標は好調を保っていますが、その他の指標は全般的にやや冴えない発表が散見されています。

労働関連指標についても、先行指標である新規失業保険申請件数はやや増加(悪化)の兆しを見せており、1月の雇用統計に悪化傾向が出ないか注目されます。

市場予想では非農業部門雇用者数が前月から19万人増、失業率は前月と変わらず5.0%と予想されています。

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マーケットビュー

◆売られすぎからの反発継続か

先週のマーケットビューではFOMCの声明文次第であるが、引き続き売られすぎからの反発が期待できる局面ではないかと記しました。FOMCの声明文は、発表直後はタカ派的と捉えられ株価は下落したものの、精査すればそれほどタカ派的なものではなく、発表翌日に株価は反発しました。さらに日銀がマイナス金利の導入を発表し、株価は大幅上昇となりました。

筆者が独自に算出しているS&P500の騰落レシオは引き続き80%程度と売られすぎ水準にあります。ECB・日銀と中央銀行が相次いで緩和的な姿勢を発表したとあって、リスクオフの巻き戻しが継続し、引き続き売られすぎからの買い戻しが期待できる局面ではないかと考えています。

益嶋裕
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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