金融政策(1月)
1月は、韓国・マレーシア・インドネシアの中央銀行で金融政策会合が開かれた。政策金利はインドネシアが引下げ、その他の会合では据え置きとなった。
インドネシアは14日に、政策金利を0.25%引き下げて7.25%とした。11月の会合では、インフレ率や経常収支などマクロ経済環境の安定を材料に先行きの緩和余地を示していたものの、12月は米国の利上げ決定の翌日だっただけに先送りしていた。1月は金融市場でリスク回避の動きが進んでいたものの、景気浮揚に向けた利下げを決めた。
またマレーシアは、国内金融市場の流動性を確保するために預金準備率を0.5%引き下げた。
金融市場(1月)
1月のアジア新興国・地域の株価は、タイ・インドネシアを除いて下落した(図表6)。
もっとも中国株や資源国株、先進国株と比べると本稿7ヵ国・地域の株価下落は小幅であった。月中旬までは、12月の米国の利上げ開始をはじめ中国経済の減速懸念や原油一段安、地政学的リスクの高まり(サウジアラビアとイランの国交断絶、北朝鮮の水爆実験)などが重なって世界的にリスク回避姿勢が強まり、アジア株も下落基調で推移した。
しかし、月下旬は欧州中央銀行(ECB)が3月の追加の金融緩和策の可能性を示唆し、日本銀行が新たな金融緩和策としてマイナス金利導入を打ち出したこと、また原油の協調減産の可能性が浮上して、株価は買い戻される展開となった。
国別に見ると、インドは原油安や鉱工業生産指数の悪化、台湾は主要取引相手である中国の景気減速懸念や輸出不振、政治情勢の先行きの不透明感が株価下落に繋がった。一方、インドネシアはテロ発生も1月の利下げ実施と先行きの追加利下げの期待が株価上昇に繋がった。
為替(対ドル)は、月中旬までは12月の米国の利上げ開始や人民元の下落などを背景に、アジア新興国の通貨も総じて下落傾向が続き、その後はリスク回避姿勢が和らいで通貨上昇に転じた。(図表7)。
国別に見ると、韓国は北朝鮮の水爆実験や人民元安の加速、インドは米利上げ開始による海外投資家の資金流出などが通貨下落に繋がった。一方、マレーシア・インドネシアの資源国通貨は原油の協調減産の可能性が浮上したことから上昇した。