(写真=PIXTA)
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◆実体経済

生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、内需が底堅いものの、輸出の低迷で持ち直しの動きが鈍い状況が続いている。タイ・インドネシア・フィリピンが3ヵ月・6ヵ月平均を上回る一方、韓国と台湾は輸出不振や在庫増を受けた生産調整により電子部品や機械設備を中心に低迷した。

◆消費者物価上昇率

12月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、14年後半の原油価格下落による物価下押し圧力が後退して緩やかな上昇傾向にはあるものの、景気減速や原油一段安の影響で上昇ペースは鈍い。インドが食品価格を中心に上昇する一方、インドネシアが補助金付き燃料価格値上げの上昇要因の剥落により、中央銀行のインフレ目標圏内(2015年は3-5%)の下方まで低下した。

◆金融政策

1月は、韓国・マレーシア・インドネシアの中央銀行で金融政策会合が開かれ、インドネシアが政策金利を0.25%引き下げ、その他の会合では据え置きとなった。

◆1月の注目ニュース

-韓国・台湾・フィリピン:10-12月期GDPを公表(26日、28日、29日)
-台湾:正副総統、立法院選挙で民進党が勝利(16日)
-インドネシア:首都ジャカルタでテロ発生(14日)
-マレーシア:原油一段安を受け、2016年度補正予算案を公表(28日)

◆2月の主要指標

2月は、マレーシア・タイ・インドネシア・インドで10-12月期のGDP統計が公表される。マレーシアはGST導入によって鈍化した個人消費が下げ止まるか、インドネシアは矢継ぎ早に打ち出された経済政策パッケージや予算執行の加速による公共投資の拡大で景気が上向くか、そしてインドでは2015年に実施した4度に渡る利下げが民間部門を刺激することができるかに注目したい。

生産活動(韓国・台湾・タイ:12月、その他の国:11月)

アジア新興国・地域の生産指数の伸び率(前年同月比)を見ると、内需は底堅いものの、輸出の低迷で持ち直しの動きが鈍い状況が続いている(図表1)。

アジア新興経済1

フィリピンは前年同月比7.5%増と、内需が好調で電気機械に加え、これまで足枷となっていた非電気機械と石油製品がプラスに転じ、大きく上昇した。さらにタイは同1.3%増となり、物品税導入を前に需要が拡大した自動車や中国向け輸出が増加したゴムなどが上昇した。

一方、韓国と台湾は、輸出不振や在庫増を受けた生産調整により電子部品や機械設備が低迷し、それぞれ伸び率が低下した。またインドは前年同月比3.2%減と、祭事期需要の終了を受けて減少に転じた。2014年10月以来のマイナスとなった。さらにマレーシアはリンギ安による価格競争力の向上を受けてリンギ安が追い風に製造業が堅調だったが、鉱業の不調で鈍化した。