事業費の推移

事業費の内訳については、あまり詳しいデータがない。それこそざっくりとみることにする。事業費は人件費関係と物件費関係に大別できる。(各社のディスクロージャー資料を、30年みれば、その金額もわかるのだが、今回はご勘弁いただきたい。)

人件費の中には、契約獲得に応じた営業職員への報酬が含まれるので、1980~90年代の新契約好調期には増加し、その後新契約の減少に伴い減少した。

物件費については、特に国内大手社において保有契約の減少や厳しい収支状況に対応して経費節減が叫ばれ、物件費関係は極力削減されてきたという傾向がある。現在では、窓販において銀行に払う手数料が増加していると想像できるが、ここでは詳細は捉えられていない。

その後、外資系・損保系生保の新規参入に伴い、そうした会社では当然初期投資的な意味合いもあり、契約も増加する中で事業費は増加してゆく。近年の事業費増加はその反映であろう。(*2)

(*1)人の生死に係るような終身保険、定期保険など生命保険を第1分野、自動車保険や火災保険などの損害保険を第2分野というのに続き、医療保険、介護保険など、その中間でどちらともいえないものを第3分野という。現在は生命保険会社、損害保険会社両方で扱える。
(*2)念のため、毎回注記しておく。全体を通して、文中のグラフについては、インシュアランス生命保険統計号(各年度版)(保険研究所)に基づくものである。グラフ化は筆者。なお、破綻や合併がある年度などにおいて、一部データに不明点や不整合がある箇所もあるが、業界全体の長期のトレンドをみるという主旨からご容赦頂きたい。

安井義浩
ニッセイ基礎研究所 保険研究部

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