インデックス,投資
(画像=PIXTA)

はじめに

将来の生活への不安などから資産運用に関心をもつ人がますます増えている。その際に有力な選択肢となるのがインデックス投資だ。そこで、これから投資を始めようと考えている人向けに同投資の仕組みやメリット、留意点などを5回にわたり紹介する。初回はやインデックス投資の基本やファンドの選び方などについて初心者にもわかりやすく解説する。

目次

  1. はじめに
  2. 「月5万円、30年の投資」で1000万円以上のリターンも
  3. GPIFを参考に主なアセットクラスを理解しよう
  4. GPIFの日本株の比率は25%
  5. インデックス投資から始めてみよう
  6. インデックスファンドの選び方
  7. インデックス投資のスタートは口座開設から
    1. カブドットコム証券
    2. SBI証券

「月5万円、30年の投資」で1000万円以上のリターンも

まず、月5万円の積立投資を30年続けた場合、どのくらいのリターンが得られるかみてみよう。30年後の積立総額は1800万円。今の低金利下で、銀行の定期預金(大口定期6カ月物、1000万円以上)は0.01%程度が多い(2018年10月現在)。もちろんこの低水準が30年続くとは限らないが、単純計算すると定期預金では30年後のリターンは1800円にとどまる。

これに対して積立投資の場合、30年という年月は過去の実績から判断してそれなりのリターンが期待できる。毎月一定金額を投資する方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれ、安い時に多く、高い時に少なく買うことになるため、相場の変動リスクも軽減できるとされる。

将来にわたる運用から見込まれる投資収益を期待リターンという。仮に、期待リターンが3%のアセットに毎月5万円ずつ30年間積み立てると30年後には1854万円になる。5%なら1890万円、7%なら1926万円だ。投資金額に対する増加額は、3%は54万円、5%だと90万円、7%なら126万円。期待リターンによって将来の価値に大きな違いが出てくる。それでは何に投資したらいいのだろう。

テンバガー,江蘇恒瑞医薬
(画像=筆者作成)
テンバガー,江蘇恒瑞医薬
(画像=筆者作成/江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276、上海市場)の株価チャート)

GPIFを参考に主なアセットクラスを理解しよう

投資する金融商品をアセットクラスといい、主なものには、自国の株式(日本の投資家なら日本株)、自国の債券(日本の投資家なら日本の債券)、外国の株式、外国の債券の4つのクラスがある。

それ以外には、オルタナティブ投資(代替投資)といって、不動産や商品、インフラストラクチャーファンド、プライベートエクイティ、ヘッジファンドなどがある。 もちろん初心者でも始めやすいのは、4つの主要アセットクラスだ。

アセットクラス別の期待リターンを過去の長期の実績で見てみよう。日本の国民年金と厚生年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のデータをここでは紹介する。GPIFの平成29年度業務概況書によると、GPIFが想定する名目期待リターン(経済中位ケース)は、日本株が5.5%、日本債券が1.5%、外国株が7.8%、外国債券が3.8%だ。

それなら期待リターンの高い外国株に全部投資すればいいのだろうか。投資の世界ではリターンとリスクはトレードオフの関係にあることは常識で、リターンが高いものほどリスクが高い。ここでいうリスクとはボラティリティ(変動率)が高いということであり、この指標が標準偏差だ。

中国株をみると、わかりやすい。上がるときも下がるときもボラティリティが高い。GPIFのデータでは、日本株のリスクが25.1%、日本債券が4.7%、外国株が27.3%、外国債券が12.6%となっている。リターンが高いほどリスクも高くなっていることがわかるだろう。

一概に外国といっても、先進国と新興国がある。株・債券とも新興国の期待リターンは先進国より高いが、その分リスクも高まる。外国株や外債に投資する場合はどの国に投資するかも考える必要がある。

テンバガー,江蘇恒瑞医薬
(画像=筆者作成)

GPIFの日本株の比率は25%