(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

生命保険会社は、「想定したよりも保険金支払が多かったので経営が傾く」、ということはないだろう。死亡率は、統計が相当整備されており、その実態は比較的安定しているので、保険会社はある程度自信をもって保険料の水準を決めることができる。(なお、医療保険については、まだそれほど確実でないかもしれない。)。

また、売掛金が生じるビジネスではないので、資金繰りに窮することも通常ない。もちろん、災害時などの資金繰りリスクへの対応については、別途整備されているはずである。

これまでに日本でいくつかの生命保険会社が倒れたのは、保険金支払いではなく、資産運用の方に原因がある。と言ってしまうと不正確で、資産運用サイドの人に叱られる。予定利率が高い保険料が過大に流入したために、市場の実勢と比較して資産運用が立ち行かなくなった(なりそうだった)、という意味で、両者のバランスが崩れたことが原因だったということだろう。

もっと正確にいうと、まず、保険料を決める段階で、資産運用により稼ぐと決心して割引いた部分がある。これを利率の意味では予定利率、金額の意味では予定利息、と称する。だから集めた保険料を資産運用することで、それ以上の収入を得なければならない(債券利息、貸付金利息、株式配当金、不動産賃貸料など)。それが実際にできなかった場合に問題となる。

もう一点難しいことは、生命保険契約は多くの場合、10~30年などの長期契約であり、その期間、毎月の保険料が変わらないものが主流、ということだ。すると、今決める予定利率は30年後などを見通したものでなければならず、もう変更はできない。そんなに長期の利率保証が可能なのだろうか。

仮に、1年毎に更新される契約であったり、毎年保険料を上げ下げしてよいなら、あとで予定利率の変更も可能である。しかし、生命保険の場合、別の難点があって、年齢が進むにつれて死亡率が急激に上がる(=保険料が急激に上がる)ことになるので、顧客にとって不便である。だから通常の個人向け保険においては、保険料が変動するのは一般的ではない。

さて今回は、そういう意味で生命保険会社に大きく影響する国内金利を筆頭に、他に代表的なものとして、株価・為替の推移をみて、その環境下でどのような資産運用をしてきたのかをみる。