
総括
FX「史上最安値圏、年率37%のスワップ金利との戦い。政府批判始まる」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価12位)
予想レンジ トルコリラ/円3.4-3.9
*史上最安値圏で推移、年率37%のスワップ金利との戦い
*株価は安い、長期金利は高止まり
*今週はGDPに注目
*外貨準備残高が増加中
*常に楽観的なシムシェキ財務大臣(政府系新聞から批判あり)
*EBRDは悲観的
*対米貿易協議進行中
*イマモール氏の逮捕後のトリプル安から抜け出せず
*EUに関税同盟の更新とシェンゲン協定の制限緩和を要請
*米国の相互関税は10%
*トルコの外貨預金比率は34.25%で高い
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
* 年末時点のインフレ予想は24%。
(史上最安値圏で推移、年率37%のスワップ金利との戦い)
対円、対ドル、対ユーロでも史上最安値圏で推移しているリラ。今年も、今月もここまで、先週も12通貨中最弱だ。それに対して年率37%というスワップ金利がリラを支える。
株価(イスタンブール100指数)も今年は元気がなく年初来4.94%安。日経平均の5.92%安に次いで弱い。10年国債はイマモール氏逮捕後は30%越えが続き、現在は30.79%と高止まり。
(今週はGDPに注目)
28日に5月経済信頼感指数、29日に外貨準備高、30日に1Q・GDPと4月失業率。
GDP予想は前年比2.2%増、前期は3%増、前期比予想は0.9%増、前期は1.7%増。
(外貨準備残高が増加中)
イマモール氏拘束以降のリラ急落にトルコ中銀は介入を繰り返し残高が半減したがこのところ増加している。外貨準備枯渇を懸念されるとさらにリラ安となるので、過去もあったように少しドルを買戻しをしていると推測される。

(常に楽観的なシムシェキ財務大臣)
シムシェキ財務大臣は、過去2週間で外貨準備高が回復し、投資家は「現実に戻ってきた」と述べた。
金利は低下しており、 CDS(リスクプレミアム)は90ベーシスポイント近く大幅に低下したと述べた。「ここ数週間を振り返ると、投資家心理は回復しており、それが金融市場の状況に反映されている」とつけ加えた。シムシェク氏は、3年間の経済プログラムは順調に進んでおり、問題なく成果を上げていると語った。「インフレ率は依然として高いが、40カ月ぶりの低水準だ」と述べた。
シムシェク氏は、経済計画はホットマネーに頼っているわけではないが、過去12か月間にFDIも増加していると指摘した。トルコは非常に大きな経済規模を誇り、インフラもかなり整っており、地域統合も進んでいると付け加えた。
(EBRDは悲観的)
欧州復興開発銀行(EBRD)のチーフエコノミスト、ヤボルチク氏は、エルドアン大統領の政敵、イスタンブール市長イマモール氏の逮捕がトルコ経済や外貨準備高に悪影響が及ぼしたとの懸念を示した。イマモール氏の逮捕は3月19日。トルコリラが急落し市場は混乱状態に陥った。これを受け、中銀は4月、利上げを断行し年初から始まった金融緩和サイクルに終止符を打った。
「こうしたことは、経済成長の鈍化と外貨準備高の減少、国際的評価の低下といった代償を伴い、投資家の信頼を損ねることになっている」と述べた。
(対米貿易協議)
トルコ貿易省は、トルコと米国間の第3回貿易交渉がワシントンで開催されたと発表した。トゥズク貿易副大臣率いる代表団は5月22日にワシントンを訪問し、4月に行われたボラット貿易大臣、ラトニック米国商務長官、グリア通商代表の間で合意された協力問題について協議した。
声明によると、訪問中、過去10年間に米国とトルコの間で達成された貿易の勢いを維持し、1000億ドルの貿易目標を達成し、投資を促進しながら両国の企業の市場アクセスを中断なく確保するための追加措置が話し合われた。
新技術、イノベーション、製造、人工知能、サイバーセキュリティなどの分野で協力の大きな可能性があることが強調され、防衛とエネルギー分野も協力が急速に進んでいる重要な分野であると付け加えた。