◆株価

ざっくり30年史2

株価の歴史的推移については、よく語られるので、この形のグラフは目にすることが多いであろう。金利も、また次に取上げる為替レートもだが、特に株価の場合は、世の中の様々な事件を反映したものになりやすいようだ。

そういった面は、筆者の力を超えるし、他にいくらでも詳しい解説があるだろうから、ここでは省略する。本稿では、株価の変動が生命保険会社の収支にどう影響するか述べているので、そういった眼でグラフをご覧頂きたい。

生命保険会社が株式を保有する意義はいくつかある。資産運用収益に関しては、株式配当金(これは利差益の一部となる。)を得るとともに、株価が上昇した時点で手放せば、株式売却益を得ることができる。

また、保険会社に対する特例として、株式含み益があれば、「保険業法第112条評価益」(平成7年以前の旧保険業法下では「84条評価益」)というかたちで、売却しなくても評価益をたてることも可能である。(ただし、無条件にということではない。主務官庁の認可が必要で、用途が保険契約者のための準備金、すなわち責任準備金や配当準備金の積立てに限られる。)

一方で、株価が下落すれば、株式売却損または評価損を計上せざるをえないこともある。また、もっと理念として言えば、生命保険会社が株式を保有することは、当該事業会社への資金供給をしていることになるし、大株主となることにより当該事業会社の経営に安定感を与えることができるという面もある。

◆為替レート

ざっくり30年史3

対米ドル為替レートは、1985年のプラザ合意を境に大きく様相が変わった。それまでは240円/ドル程度で比較的安定していたが、プラザ合意後急激に円高が進み、ほぼ150円以下で変動するようになっている。240円から100円以上円高になったのが大きすぎて、その後はたいした変動ではないように見えてしまうが、これだけの変動の中で大きく翻弄されてきた。

為替が関わる資産運用は、外国証券、中でも米国債が以前より主なものであった。日本国内の金利が低いために、もっと高利回りを求めて海外の債券等に資金を振り向けたくなるところであるが、その際に、円高による為替差損を被るリスクと常に背中合わせであり、実際年度によっては大きな損失があった。

そこで、為替変動リスクを充分考慮するとともに、たとえコストがかかってもヘッジをかけるかどうかと、その水準を考慮する必要がある。また、ここでは省略するが、近年はユーロは当然のこと、豪ドルなど他の通貨への投資も増加しているようで、変動の影響は幅広くなっている。