銀行口座を開設するうえで、最初に金利を比較するという人は多いでしょう。

今回は、取引条件にも注目し、普通預金・定期預金の金利を比較します。また、利息の計算方法や利息にかかる税金など、金利を比較するための基礎知識について解説しますので、金利を参考に口座開設を検討している人はぜひ参考にしてください。

金利とは? 比較する時の注意点を解説

銀行金利
(画像=PIXTA)

金利が高い・低いといった情報は、インターネット上をはじめとして世の中にあふれています。「金利は高い方がいい」と漠然と認識していても、金利の意味や利息の計算方法を知らない人は意外と多いのではないでしょうか。まず、そもそも金利とは何かを解説します。

普通預金や定期預金にお金を預けると、定期的に利息を受け取ることができます。銀行は、私たちの預けたお金を運用しているため、運用益の中から利息として預金者にも分配されるのです。

この預けた金額に対する利息の計算レートが、「金利」です。金利は基本的に「年利」で表されます。つまり、預けたお金に対して、1年間でどれだけの利息を受け取れるかを割合で表すのが、金利なのです。

金利が高いほど、預けたお金に対して受け取れる利息の金額が大きくなるため、預金者にとってお得といえるでしょう。銀行で口座開設するなら、金利は高いに越したことはありません。金利は、銀行によって異なります。そのため、少しでも金利の高い銀行で口座開設することが大切です。

一般的に、銀行は、金利をホームページで公開しています。ただし、金利を比較する際には、金利が適用される「条件」に注意しましょう。

銀行の中には、「預金額が〇円以上」「証券口座を開設」など、一定の条件を満たさなければ、高い金利が適用されないところがあります。条件を踏まえて、自分に適用される正確な金利を知ったうえで、口座を開設することが重要です。

また、定期預金には預け入れた時点の金利が満期日まで適用される「固定金利」と一定期間ごとに適用金利が変更される「変動金利」があります。変動金利の場合、満期までの期間中に、金利が上昇すれば、固定金利の商品よりも有利に運用することができます。反対に金利が低下すれば、固定金利商品より不利になってしまいます。

普通預金と定期預金の違い

続いて、普通預金と定期預金の違いを解説します。

普通預金はいつでも引き出せるのに対し、定期預金の場合、預入期間中は基本的にはお金を引き出すことができません。預入期間には、3ヵ月・半年・1年・3年・5年などがあり、お金を預ける時点での今後の支出計画などを踏まえ、自分に合った預入期間を選ぶことになります。

お金を自由に引き出せない分、定期預金では普通預金より金利が高く設定されていることが多いようです。そのため、毎日の生活費を引きだすメイン口座は普通預金にし、それとは別に貯蓄用として定期預金の口座を開設することが一般的です。

教育費や介護費用など貯蓄の目的別に、預入期間の異なる定期預金を活用するのもいいでしょう。

金利から利息を計算するには?

続いて、金利から利息を計算する方法を解説します。普通預金・定期預金に分けて紹介するので、参考にしてください。まずは「税引前」の利息を計算してみます。

●普通預金の計算例

まず、普通預金金利が年0.1%の銀行で口座開設し、100万円を預け入れたとします。そうすると、「100万円×年0.1%」が1年間で受け取れる利息の金額なので、利息は1,000円です。

しかし厳密には、普通預金の残高は毎日変動しますし、金利は変動金利なので毎日変わる可能性があります。そのため、通常、日々の利息は「毎日の預金残高×その日時点の年利÷365日」で計算されます。多くの銀行では年2回利息を支払うこととしているため、上記の計算式で計算された利息が計算期間分累計され、年に2回、銀行の定めた月に口座に入金されます。

●定期預金の計算例

ここでは、固定金利の定期預金について説明します。定期預金金利が年0.1%の銀行で口座開設し、100万円を預け入れた場合、1年間で受け取れる利息は1,000円です。

ただし、運用期間中に利払いがある定期預金の中には、1回目の利払いは100万円に金利をかけて利息を計算しますが、2回目は「100万円+1回目の利息」に金利をかけて利息を計算する商品もあります。つまり、2回目は1回目より多くの利息を受け取れるのです。こうして、預入期間が伸びるほど、利息は増加していきます。

このように、受け取った利息を元本に組み入れることで、効率的な資産形成が可能になることが「複利商品」の特徴で、これを「複利効果」と呼びます。一方、利息を元本に組み入れないものを「単利商品」といいます。

また、1年未満の定期預金の場合、一般的には金利は年利で表示されるので、期間に応じて利息も按分しなければなりません。たとえば、定期預金金利が年0.1%の銀行で口座開設し、100万円を3ヵ月の定期に預けたとすると、利息の計算式は「100万円×年0.1%÷4」なので、受け取れる利息は250円となります。実際の金利計算は日割となることがありますのでご注意ください。

利息には税金がかかる!計算方法は?

ここまでの利息の計算例では、簡略化するため、税金を加味せずに解説しました。しかし実際には、所得税・地方税が差し引かれたうえで利息が支払われることになります。

税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%の合計20.315%です。復興特別所得税は、2037年末までかかります。それ以降は、所得税・地方税の合計のみの20%となります。

たとえば、1,000円の利息を受け取る際の税金は、単純計算では「1,000円×20.315%」で203円です。支払われる利息は、あらかじめ税金が差し引かれたあとの金額なので、入金額は797円になります。税金について知らないと、思いのほか利息が少なく思えて混乱してしまうので、きちんと押さえておきましょう。

わずかな金利差も時間が経てば大きな差になる

「1%未満の金利で、そんなに大きな差は出ないだろう」と考える人もいます。しかし、これは大きな誤解です。たとえば、金利が年0.2%の場合と、年0.001%の場合で比較してみましょう。金利の差は、200倍です。

金利が年0.2%の預金口座と金利が年0.001%の預金口座に、それぞれ500万円を預けたとします。残高や適用金利は変動しないものとすると、受け取れる利息額の累計額は下記の通りです。

ZUU online編集部作成
(※比較とする商品性は同じものとし、複利効果、税金は加味していません。概算です)

残高が2倍の1,000万円だとすると、金利年0.2%と年0.001%で、40年後には約79万6,000円(税引前概算)もの差が生まれます。たとえ1%未満であっても、積み重なると非常に大きな差になることが実感できるでしょう。

金利の違いを甘くみてはいけません。数十年でどのぐらいの差が出るのか、きちんとシミュレーションしたうえで、自分なりの資産形成の在り方を模索することが大切です。

【2020年】普通預金の金利差を考える

2020年4月現在、日本国内の銀行の普通預金の金利は年0.001%から0.2%までと大きな幅があります。

優位性のある金利を適用してもらうためには、一定の条件が課されているケースもありますが、無条件で優位性のある金利を適用する銀行もあります。

年0.001%という金利設定では、たとえ1,000万円預けたとしても、年間でたったの100円(税引前概算)しか利息を受け取れません。しかし、金利が年0.2%ならば、1,000万円預ければ2万円(税引前概算)の利息が受け取れます。

金利年0.001%と年0.2%では、200倍もの差があり、この差は受け取れる利息の金額に反映されます。

また、頻繁にお金を引き出す普通預金の場合、金利以外に、使い勝手も重要です。ATMの手数料の有無や、無料利用回数などの条件も確認しておくとよいでしょう。

【2020年】定期預金の金利に注目

続いては、2020年4月現在の国内の銀行の定期預金の金利を見てみましょう。

定期預金の場合、年0.01%から年0.1%程度までの幅があります。

銀行によっては、条件を満たせば金利が年0.3%になるというケースもあります。金利年0.3%の定期預金に500万円を預けた場合、1年間で受け取れる金額は1万5,000円、10年間で受け取れる金額は15万円(いずれも税引前概算)です。

また、金利を重視するなら、外貨定期預金を検討してもいいかもしれません。米ドル、豪ドル、ブラジルレアルなどが人気です。外貨定期預金は日本円と比較して金利が一気に高くなり、高額な利息を受け取ることができる場合が多いものの、外貨定期預金にお金を預けると、為替レートの変動によっては元本割れのリスクがあります。金利の高さだけで外貨定期預金を選択することがないよう、十分注意しましょう。

金利の高い銀行で安全に資産を増やす

ほんのわずかな違いに思えても、金利の差は、資産形成に大きな影響を及ぼします。数十年単位で比較した時、数十万円の差になることもあるので、早めに金利を意識して効率的な資産形成の仕方を模索しましょう。

最近では、金利の高い銀行で口座開設し、お金をまとめて移動させる人もいるようです。タイミングが遅れるほど生涯で受け取れる利息総額は少なくなるため、機会損失を生まないよう注意したいものです。

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