円安・ドル高の流れが続いている。2020年末に1ドル103円台前半だったのが、2021年12月の原稿執筆時点では113円台で推移している。約10円も円安に振れたため、外貨預金を行っている人の中には「今年利益を確定した」という人も多いだろう。

利益を確定したときに気になるのが確定申告の必要性だ。意外と忘れがちな住民税申告にも気を配りたい。そこで今回は、外貨預金で為替差益が発生した場合の確定申告や住民税申告について解説する。

そもそも確定申告とは ?

外貨預金の為替差益、確定申告は必要? 意外と漏れがちな住民税の申告
(画像=cassis / stock.adobe.com)

確定申告とは、毎年1~12月の収入からその金額にかかる所得税 (および復興特別所得税) の額を計算し、納付するための手続きのことだ。すでに源泉徴収や予定納税で税金を納めている場合、金額によっては税金が還付されることもある。

外貨預金に確定申告は必要 ?

外貨預金で為替差益が発生した場合、基本的には確定申告が必要になる。雑所得として、確定申告による総合課税 (各種の所得金額を合計して所得税額を計算する制度) の対象となるからだ。

ただし、確定申告が不要なケースもある。年収2,000万円以下の給与所得者で、外貨預金の為替差益を含めた給与所得以外の所得が年間20万円以下の場合、確定申告は不要だ。なぜ年収2,000万円以下に限定されるかといえば、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は、原則として確定申告を行う必要があるからだ。

外貨預金の為替差益のほかにも給与所得以外の所得がある人は注意したい。例えば、給与所得800万円の人が外貨預金の為替差益15万円を得たとしよう。確定申告は不要に思えるが、同じ年に暗号資産で15万円の利益を得ていた場合 (暗号資産の利益は原則として雑所得) 、15万円+15万円=30万円の給与所得以外の所得を得たことになり、確定申告が必要になる。

確定申告と住民税申告は何が違う ?

前述の通り、確定申告は所得にかかる所得税を算定する手続きだ。一方、住民税の手続きには、確定申告とは異なる住民税申告というものがある。確定申告と住民税申告は何が違うのだろうか。

住民税申告とは、1月1日に住民登録をしている市区町村に対し、前年の所得について申告するものだ。住民税申告は確定申告とは異なり、収入の額にかかわらず申告する必要がある。

税金は国税と地方税に分けられる。所得税は国税であり、住民税は地方税だ。国税は国に納める税金なので、税務署が管轄している。一方で地方税は、各都道府県や各市町村などの地方自治体に納める税金だ。そのため、別々の窓口に申告する必要があるわけだ。

住民税申告が必要なケースは ?

外貨預金の為替差益を得た人が、住民税申告を求められるケースはあるのだろうか。前提として、前年分の所得に関する確定申告をした場合は、住民税申告をしたものとみなされる。そのため確定申告を行った人は、改めて住民税申告を行う必要はない。具体的には、以下のケース以外は住民税の申告書を提出する必要がある。

・前年の所得が給与所得のみ (雇用主が給与支払報告書を提出済み)
・前年の所得が公的年金のみ (公的年金等支払報告書を提出済み)
・前年分の確定申告をした
・1月1日の住民登録地が同じである親族の税法上の扶養に入っている

例えば、給与所得800万円の人が15万円の外貨預金の為替差益を得て、それ以外の所得はなかったとする。給与所得以外の所得が年間20万円以下なので、確定申告は不要だ。しかし前年の所得が給与所得のみではないので、住民税申告は必要になる。

住民税申告を行わないと、国民健康保険税などが正しく算定されない、所得証明書や課税 (非課税) 証明書を発行できない、といったことが起こる。また、納期限内に住民税を納めなかった場合は、遅延した日数に応じて延滞金が加算される。

自分で住民税申告するパターンは失念注意 !

ここまで、外貨預金で為替差益が発生した場合の確定申告や住民税申告について解説してきた。金額によっては確定申告が不要で、所得税がかからないケースもある。しかし、住民税は原則として発生する。

住民税を正しく申告するには、確定申告をするパターンと住民税申告をするパターンがある。前者の場合は確定申告をもって住民税申告が完了するが、後者は意外と忘れられがちだ。2021年に外貨預金の為替差益を得た人は、自分がどちらのパターンに当てはまるかを確認し、住民税を正しく申告しよう。

(提供:大和ネクスト銀行


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