世界的に深刻なインフレ (物価上昇) が続くなか、米国やオーストラリアなど各国の中央銀行は次々と政策金利の引き上げを決行している。一方、各国とは対照的に金融緩和策を続ける日本の状況はどうなっているのだろうか。日本円を外貨建てで預け入れる外貨預金では、諸外国の金利上昇がチャンスになり得る。

本記事では、各国の政策金利の動向や外貨預金の魅力について解説していく。

各国の政策金利が上昇

世界各国の金利が急上昇 ! 日本との差や外貨預金の魅力とは ?
(画像=sasun Bughdaryan / stock.adobe.com)

中央銀行による政策金利の引き上げが顕著な主要国は、以下の通りだ。 (2022年11月11日時点)

国名・通貨名政策金利直近の引き上げ幅
米国 (米ドル)3.75~4.00%0.75%
オーストラリア (豪ドル)2.85%0.25%
イギリス (英ポンド)3.00%0.75%
カナダ (カナダドル)3.75%0.50%
ニュージーランド (NZドル)3.50%0.50%

米国の場合

米連邦準備理事会 (FRB) は2022年11月に、政策金利 (フェデラルファンドレート、FFレート) の0.75%の大幅利上げを実施。同年3月に0.25%、5月に0.5%、6月と7月と9月はそれぞれ0.75%と、複数回にわたって引き上げをしていた。今回の利上げは6回目で政策金利の誘導目標は3.75~4.00%。政策金利が3%を超えたのは2008年初頭以来である。

その後も米国内のインフレは続いており、FRBによる利上げは今後も続く見通しだ。

オーストラリアの場合

オーストラリアでもインフレが続いている。中央銀行であるオーストラリア準備銀行 (RBA) は2022年10月に政策金利を0.25%引き上げ2.6%とした。2022年5月から6ヵ月連続の利上げだ。高いインフレ率に対処するため、今後も数ヶ月にわたって政策金利を引き上げることが見込まれる。

イギリスの場合

英国中央銀行のイングランド銀行は、2022年11月に政策金利を0.75%引き上げて3.00%とした。同年7月に10.1%だったインフレ率は、同年8月に9.9%となりわずかに低下。しかし、9月のインフレ率は10.1%と上がる結果となっている。

政策金利引き上げで預金金利も上昇

各国の中央銀行による政策金利の引き上げ・引き下げは、国内景気の過熱や減退に対応したり物価を安定させたりするための短期金利 (誘導目標金利) 設定だ。一般的に不景気により物価が下落するデフレ傾向では政策金利を引き下げ、反対にインフレ時には政策金利を引き上げる。政策金利が上がれば、民間の金融機関は資金調達のために企業や個人への貸出金利をさらに引き上げるだろう。

それにより企業や個人は資金を借りにくくなり、経済活動が減退して景気の過熱が抑えられるという仕組みだ。つまり政策金利が上昇すると預金金利も上がっていく。

日本の政策金利は ?

各国が政策金利を引き上げているなか、日本の経済状況や金融政策はどうなっているのだろうか。

歴史的なインフレが続く

日本でも長期的なインフレが止まらない。2022年9月の消費者物価指数 (生鮮食品を除く) は、前年同月比3.0%の上昇となり消費増税の影響を除くと31年ぶりの水準となった。ロシアのウクライナ侵攻による原油価格高騰などに加え、深刻な円安が輸入コストの上昇を招いている。食料品や生活用品など2022年10月から値上げをした商品も多く、人々の生活にも大きな支障が出ていることはいうまでもない。

各国とは対照的、日銀は金融緩和続行

日本の中央銀行である日本銀行 (日銀) は、2022年10月時点で大規模な金融緩和策を継続する方針を示している。これは、インフレに対して金融引き締め (金利引き上げ) を実施する各国とは対照的だ。金融機関が日本銀行に預けている預金金利をマイナスにすることで、企業や個人への貸出を促すマイナス金利政策を貫いている。

これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ国内経済を下支えするためだ。他国との金融政策の違いが目立ち、米ドルなど外貨と日本円の金利の差が開いている。

金利アップは外貨預金のチャンス

海外諸国の政策金利上昇に加えて歴史的な円安も続いている。外国為替市場では、2022年10月21日に一時1米ドル=151円台となった。これは、1990年ぶりの円安ドル高だ。

外貨預金を始める人が急増

海外の政策金利と大きな乖離がある状況下では、日本円を外貨建てで預け入れる外貨預金でメリットを得やすい。なぜなら外貨預金では、為替差益だけでなく預け入れている間の金利による利益が期待できるからだ。国内の金融機関では、外貨預金の金利が大幅に上昇しているため、新規開設も増加している。初めて外貨預金を始める人も増えているという。

インフレ・円安が続く今こそ外貨預金

金融緩和を続けている日本とは対照的に世界各国ではインフレ対策として政策金利を引き上げていることから、先進諸国と日本との金融政策の差が顕著になっている。政策金利が上がれば預金金利も上昇していくため、深刻な円安が懸念される今こそ外貨預金を始めて為替差益だけでなく金利にも期待したいところだ。

(提供:大和ネクスト銀行


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