病気を患ったとき、万が一のとき、家族の生活を支える心強い味方となる「保険」。保障の手厚さなどをじっくり比較・検討した上で加入している人は多いと思われるが、受け取るときの「税金」のことまで考えている人はどれくらいいるだろうか。

実は一口に保険と言っても、保険金が課税対象となるケースと、非課税となるケースがある。また、受け取り方によって課税額が変わる点も見逃されやすい。頼りにしていた保険金が想定を下回ることも考えられるため、自信のない人は早めにチェックしておこう。

保険金が課税対象となるケースは ?

知らないと老後資金が足りなくなるかも ? 保険金の「課税」「非課税」
(画像=thanksforbuying / stock.adobe.com)

保険金が課税対象となる保険の代表格は、生命保険だ。死亡時に支払われる死亡保険金だけでなく、途中解約した場合の解約返戻金や、満期のあるタイプの保険の満期保険金も課税される (基礎控除や特別控除で税金がかからない場合もあり) 。

ただし、生命保険で注意したいのは「リビング・ニーズ特約」で支払われる生前給付金は非課税となっている点だ。リビング・ニーズ特約とは、余命6ヵ月以内と診断された場合に、保険金の一部または全部 (上限3千万円) を保険金の前払いとして受けられる特約である。この特約は、生命保険に無料で付けることができる。

生命保険のほか、個人年金保険も課税される保険だ。年金で受け取るか、あるいは一時金として一括で受け取るかによって課税のされ方は異なるが、ともに課税対象となることは変わらない。

では、これらの保険にはどのような税金がかかるのだろうか。

かかる税金の種類は、契約の仕方によって変わってくる。例えば生命保険の場合、契約者 (保険料を支払う人) と保険金受取人が同じであれば、保険金受取時に所得税がかかる。契約者と被保険者が同一のときには、契約者の死亡時に相続人に支払われた保険金に相続税がかかる。また、契約者と被保険者、受取人が全て異なる場合には、受取人に贈与税が課されることになる。

▽契約形態別の税金の種類

契約形態税金の種類
契約者と保険金受取人が同一所得税
契約者と被保険者が同一だが、保険金受取人が異なる贈与税
契約者と被保険者、保険金受取人がすべて異なる相続税

かなりややこしいが、それぞれの税額にはかなりの開きが出ることが想定されるため、保険の契約時には誰を受取人にするかよく考えておく必要があるだろう。一般に、相続税として課税されると一番税額が少なくなり、逆に贈与税となれば高くなると認識されることもあるが、すべてのケースについて言えるわけではないため注意したい。

また、税額は保険金の受け取り方によっても変わってくる。契約者と受取人が同一の生命保険であれば、一時金で受け取る場合には一時所得となり、年金で受け取る場合は雑所得となる。基本的に、一時所得の所得税は、50万円の控除額を差し引き、さらに残額を2分の1にしたものに税率をかけることで計算される。雑所得の場合は、所得税は源泉徴収されることになる。

個人年金保険についても、契約者と受取人が同一の場合、一時金で受け取る場合には一時所得となり、年金で受け取る場合は雑所得となる。このため、一概には言えないものの、他の所得がどれくらいあるかによって、一時金で受け取るほうが税額を抑えられる可能性がある。

また、個人年金保険で、契約者と受取人が異なるケースもあるだろう。例えば、親が子どもの将来を案じて個人年金保険に加入する、といった事情が考えられる。この場合、年金を受け取る1年目に贈与税が課されることとなるが、この贈与税はかなりの高額となる場合もある。そのため、税金のことを考慮するのなら、受取人を変更することも検討してみるとよいだろう。

保険金が非課税となるケースは ?

医療保険やがん保険の入院給付金や診断給付金、あるいは介護保険の保険金などは「非課税」だ。これらの給付金や保険金の共通点は、入院や通院などに実際にかかる費用を補うためのものであるということだ。つまり、これらは受け取った人の財産が増えるものではないので、非課税となっていると考えられる。病気やケガに対して支払われる保険金は非課税になるケースが多い、と考えておけばよいだろう。

そのほか、所得補償保険の保険金も非課税である。所得補償保険の保険金は、病気やけがによって働くことができなくなったときに、所得の減少を補うために支払われるものだからだ。

また、生命保険の死亡保険金が課税対象となる一方で、リビング・ニーズ特約の保険金が非課税となっているのも、これが重度の疾病に対する保険金であるとみなされるためだ。ただし、リビング・ニーズ特約の保険金の場合、契約者が生前に使い残した金額については相続税が課されることは知っておきたい。

所得税法施行令第30条には「資産の損害に基因して支払を受けるものは非課税である」という旨が明記されている。そのため、火災保険から支払われる保険金も原則非課税である。

保険金を受け取る前に、税金について確認しておこう

いざという時に、税引き後の受取額が想定を下回っていることは避けたい。そのため、課税される保険金については「受け取り時にどれくらい税金がかかるのか」、元気なうちに確認しておくことが肝要だ。

特に、契約者と受取人が異なる場合などは、税金が思った以上にかさむ可能性がある。契約の見直しや、あるいは贈与税分の資金の準備など、対応に多少の時間がかかることもありえるので、早めに確認しておきたい。

また個人年金の場合では、一時金で受け取るのか、年金で受け取るのかについては、自身の他の所得との兼ね合いもあって判断が難しい場合もあるかもしれない。保険会社や税理士などのプロに相談してみるのもよいだろう。

こうした準備をしておくことで、保険がより頼もしい存在となるはずだ。

(提供:大和ネクスト銀行


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