ライフプランを考えるうえで受給できる公的年金の金額の目安を把握しておくことは重要だ。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」には、目安となる金額を予想できる情報が網羅されているため、しっかりと確認しておきたい。本記事では、ねんきん定期便のチェックポイントを整理しながら解説していく。
そもそも「ねんきん定期便」とは ?
ねんきん定期便とは、国民年金または厚生年金に加入している人に対して日本年金機構から発行される書類のことだ。毎年、誕生月の2ヶ月前に作成され誕生月になると自宅へ郵送される。ねんきん定期便には、年金制度加入期間や保険料の納付状況など年金にまつわるさまざまな情報が記載されているのが特徴だ。将来受け取る年金の金額の目安を知るためにも内容に誤りがないかを確認しておきたい。
なお節目となる年齢 (35歳、45歳、59歳) のねんきん定期便では、ハガキでなく封書で20歳以降の全期間の年金記録情報が送られてくる。そのほかの年齢では、折り込まれてのり付けされたハガキが1枚郵送で届く。また管理や保存に便利な「電子版ねんきん定期便」もある。インターネットを通じてパソコンやスマホで最新の年金記録を確認できる「ねんきんネット」からダウンロードが可能だ。
なお郵送されてくるねんきん定期便は、ネット手続きにより停止することもできる。
共通して掲載されている内容
それでは、ねんきん定期便に記載されている内容を詳しく見ていこう。ただ年齢によって形式や記載内容が異なっている。まずは、どの年齢にも共通して記載されている情報を紹介しよう。
各種番号 (照会番号など)
ハガキや封書で届くねんきん定期便には、12桁の「照会番号」が記載されている。ねんきん定期便の内容について疑問や修正点があり、年金事務所や専用番号に問い合わせる際に必要となる番号だ。一方、電子版ねんきん定期便には照会番号ではなく10桁の基礎年金番号が表示されている。公務員共済や私学共済に加入していれば、各共済組合に問い合わせるための加入者番号が書かれている。
お客様へのお知らせ
「住所確認のお願い」など、各人に向けた個別のメッセージが記載される。
最近の月別状況
直近1年の月別の支払状況や保険料納付額などの内容も把握可能だ。国民年金は、月ごとに「納付済」や「未納」といった記載がある。厚生年金の保険料は、毎月の収入額によって決まり、その金額が記されているため、「もれ」や「誤り」がないか、誰もが必ずチェックすべき欄だ。
これまでの保険料納付額
これまでに納めてきた国民年金保険料と厚生年金保険料の金額がそれぞれに表示されており、両方の合計金額がわかる。
50歳未満の人の見方
これまでの加入実績に応じた年金額 (年額) が、棒グラフをイメージした図に表示されている。例えば46歳の人なら20歳から現在までの26年分の年金保険料を基に計算した数字だ。ただし今後の保険料支払い分は考慮されていないため、金額が少なくてもさほど心配はいらない。この図には、 (今年) と (昨年) の2つの数字が記載されている。
きちんと保険料を納付していれば、今年は昨年より増えているはずだ。「最近の月別状況」とあわせて減っていないかどうかチェックしたい。
50歳以上の人の見方
50歳未満と大きく異なるのは、65歳で受け取れる見込額が記載されていることだ。ただし見込額は「現在の条件のまま60歳まで保険料を払い続けた」との前提で計算されている点に注意したい。もし会社員が60歳までに退職したり、給料が下がったりすれば記載されている見込額より少なくなるだろう。また65歳以降に繰下受給を選択し年金の受け取りを遅らせれば、もらえる金額が増加する。
65歳からの金額と比べると70歳なら42%増、75歳は84%増だ。この金額も明記されているため、どれだけ増えるのかがすぐにわかるだろう。受給開始年齢によってどのように受取金額が変わるのかは、ライフプランを考えるうえで非常に重要な情報となるため、決して見逃せない。
年金受給者で現役被保険者の人の見方
ねんきん定期便は、年金を受給しながら国民年金や厚生年金に加入している人にも送られてくる。ただ、50歳未満の人のねんきん定期便にあった「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以上の人用にあった「見込額」のように将来の年金額の目安になる情報はない。この年金受給額については「年金振込通知書」「年金額改定通知書」など別の書類で知らされる。
そのため、ねんきん定期便に記載されているのは、どの年齢にも共通する内容にほぼ絞られているのが特徴だ。
内容に誤りがあった場合の対処法
ねんきん定期便の記録に「もれ」や「誤り」があった場合は、年金事務所や「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」に問い合わせしよう。その際には、前述の照会番号が必要だ。また35歳、45歳、59歳の人に届く封書には、追加または修正すべき情報や誤りの内容を記入する「年金加入記録回答票」が同封されている。
この場合も同封されている返信用封筒で返送するか、近くの年金事務所に提出しよう。
ねんきん定期便の確認は自己責任と心得よう
保険料の未納期間があったり、支払ったはずの金額より少なく記録されていたりすると将来の受給額が減ることになる。ねんきん定期便は、各人が本来の額を受け取れるように「もれや誤りがないか」を確認するためのものだ。「どこを見ていいのかわからない」と放置して確認を怠っていると、対応できる手続きもできなくなる可能性がある。
あくまでもねんきん定期便の確認は自己責任と認識して、毎年しっかりとチェックしておきたい。
(提供:大和ネクスト銀行)
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