老後について考える際は、避けることができない「体力低下」について意識したい。本記事では、スポーツ庁が行った体力・運動能力調査の結果から、65歳以降の体力低下の現実を紹介する。また、その現実を踏まえたうえで、お金に働いてもらう「資産運用」についても解説する。

65歳以降の体力低下。改めて認識したい現実

シニア期の体力低下の現実。目を背けず、お金に働いてもらう習慣をつけよう
(画像=maroke / stock.adobe.com)

スポーツ庁は、2023年10月に2022年度の「体力・運動能力調査」の結果を公表した。このデータから、「65~69歳」「70~74歳」「75~79歳」の男女における新体力テストの合計点の平均点を抽出したのが以下の表だ。

年齢男子女子
65~69歳41.85点43.15点
70~74歳40.09点40.70点
75~79歳36.22点37.39点

男女ともに、年齢が上がるにつれて点数が落ちていることがうかがえる。男子は41.85点→36.22点、女子は43.15点→37.39点に低下した。また調査結果では、テスト項目別の平均値も紹介されている。例えば「6分間歩行」において「65~69歳」と「75~79歳」を比べると、距離の平均値は男女ともに「75~79歳」のほうが約47メートル短くなっている。

働くシニアは増加傾向だが、老いには逆らえない

近年は、働くシニアが増加していることをご存じだろうか。内閣府が毎年公表している「高齢白書」によると、65歳以上の就業率は以下のように推移している。

年齢2017年2018年2019年2020年2021年
65~69歳44.3%46.6%48.4%49.6%50.3%
70~74歳27.2%30.2%32.2%32.5%32.6%
75歳以上9.0%9.8%10.3%10.4%10.5%

いずれの年齢層でも、過去5年間の推移を見ると就業率が高くなっている。65~69歳においては、就業率が直近で50%を超えた。しかし働くシニアは増えているものの、老いには逆らえないのが現実であり、その点を踏まえたうえでの将来設計や準備が必要だ。

お金に働いてもらう「資産運用」を始めよう

年齢を重ねるにつれて体力に衰えを感じるようになると、徐々に元気に働き続けることが大変になってくる。そこで「お金に働いてもらう」という視点を持ってほしい。お金は年をとらず、当然体力が衰えることもない。このお金に働いてもらうためには、早めに「資産運用」を始めておくことが重要だ。

では、具体的に資産運用の手法としてはどのようなものがあるのだろうか。ここでは、代表的な手法として「外貨預金」「株式投資」「投資信託」の3つを挙げ、それぞれのメリットとデメリットを紹介していく。

外貨預金のメリット・デメリット

外貨預金のメリットは、円預金よりも高い金利で安定して収益を得られることだ。また、日本円のほかに米ドルなどの外貨を保有しておくことで、極端に円安が進んだときのリスクを軽減できることもメリットといえる。

例えば、米ドル対円の為替相場が円安傾向のとき、日本円だけを保有していると米ドルに対する価値が目減りする。しかし円安ということは米ドル高でもあるため、円安のときは保有している米ドルの日本円に対する価値は上がっていく。

一方、デメリットは為替相場の変動によって元本割れのリスクがあることだ。しかしこのデメリットは、株式投資や投資信託でも同様のことがいえるため、外貨預金に限ったものではない。

株式投資のメリット・デメリット

株式投資のメリットは、保有している銘柄の株価が大きく上昇すれば、外貨預金などよりも大きく資産を増やせることだ。特に個別株式の値動きは大きくなりやすく、その分だけ大きな収益を狙えるが、株価の下落幅も同様に大きくなりやすい側面がある。

株価の変動幅の大きさは、株式投資のメリットでもあり、デメリットでもあるといえるだろう。

投資信託のメリット・デメリット

一定の方針に従って運用をプロに任せる投資信託のなかには、さまざまな資産に分散投資するタイプのファンドがあり、その場合は基準価額の変動が緩やかになることがメリットとして挙げられる。

一方、投資信託のデメリットとしては、その投資信託を保有している限り運用してもらうための手数料 (=信託報酬という) がかかることなどが挙げられる。

リスクを抑えながら資産運用を始めよう

高齢期の体力低下は、誰しも避けることができないため、今のうちからお金に働いてもらう習慣をつけておくことが大切だ。同時に、現在の貯蓄状況などから逆算してどのくらいのお金を準備する必要があるのかも把握しておきたい。それによって、資産運用のアプローチ方法が変わってくる。ただしシニア予備軍は、リスクを極力避ける視点を持つことも重要だ。

その点を踏まえると、日本円と外貨という組み合わせなどでリスクを軽減しやすい外貨預金は、堅実な選択肢の一つとなるだろう。

(提供:大和ネクスト銀行


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