「お金がもったいない」「行くのが面倒」「がんが見つかったら怖い」などの理由で、がん検診を定期的に受けることを避けている人はいないだろうか。しかし、仮にがんが見つかっても検診で早期発見ができれば、5年後生存率などは大きく変わってくる。
では、実際にがん検診の受診率はどれほどなのだろうか。本記事では、がん検診の受診率に関する調査データなどを紹介していく。
がん検診の受診率は ?
まずは、内閣府が公表した「がん対策に関する世論調査 (令和5年7月調査) 」の結果を見てみよう。40歳から70歳以上の各年齢層における受診状況は、以下の通りだ。
年齢層 | 1年以内に受診 | 2年以内に受診 | 2年より前に受診 | 受診したことがない | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|
40代 | 41.2% | 11.1% | 17.2% | 30.5% | - |
50代 | 41.8% | 7.9% | 21.1% | 27.5% | 1.8% |
60代 | 37.7% | 10.6% | 26.1% | 25.0% | 0.7% |
70歳以上 | 29.0% | 12.9% | 27.5% | 26.9% | 3.7% |
自分の年齢層に合わせて表を確認してみよう。最も多い割合のなかにあなたは含まれているだろうか。
「がん別」の受診率は ?
続いて、がんの種類ごとの受診率も紹介する。東京都保健医療局が実施した「令和4年度 東京都がん予防・検診等実態調査」のデータを基に、その詳細を見ていこう。
がんの種類 | 受診率 |
---|---|
胃がん検診 | 60.2% |
大腸がん検診 | 61.3% |
肺がん検診 | 59.1% |
乳がん検診 | 64.4% |
子宮頸がん検診 | 60.0% |
最も受診率が高いのは「乳がん検診」で64.4%、次いで「大腸がん検診」が61.3%と比較的高い水準にある。一方で、「肺がん検診」は59.1%と、他のがん検診に比べてやや低い結果となっている。全体的に見ても6割前後の受診率に留まっており、まだまだ受診率の向上が必要であることがうかがえる。
なぜ、がん検診の受診をしぶる ?
がん検診に積極的な人もいる一方で、なぜ一定数の人が受診をためらうのだろうか。内閣府大臣官房政府広報室が過去に発表した「がん対策・たばこ対策に関する世論調査」では、未受診の理由が示されている。2019年7月の調査結果では、未受診の理由トップ5は以下の通りだ。
順位 | 未受診の理由 | 割合 (複数回答) |
---|---|---|
1位 | 受ける時間がないから | 28.9% |
2位 | 健康状態に自信があり、必要性を感じないから | 25.0% |
3位 | 心配なときはいつでも医療機関を受診できるから | 23.4% |
4位 | 費用がかかり経済的にも負担になるから | 11.8% |
5位 | がんであると分かるのが怖いから | 9.2% |
「受ける時間がない」が最も多く、忙しさが受診の妨げになっている。また、「健康状態に自信がある」という過信や、「心配なときに医療機関に行けばいい」という考えも、定期検診を避ける要因となっている。さらに、「費用がかかる」という経済的な理由や、「がんであると分かるのが怖い」といった心理的な恐怖も、受診をためらう理由として挙げられている。
がん検診の費用はどれくらい ?
なかには、費用がかかることで受診を見送る人がいることも分かった。たしかにがん検診は、ある程度費用がかかる。医療機関によって金額は異なるが、例えば国立がん研究センター中央病院の場合、総合検診だと男性が12万4,800円、女性が15万7,800円、単独検診だと消化管がんが7万9,200円、肺がんが3万9,400円となっている。
コース名 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
総合検診 | 12万4,800円 | 15万7,800円 |
総合検診+PET / CT | 23万4,800円 | 26万7,800円 |
単独検診・消化管がん | 7万9,200円 | 7万9,200円 |
単独検診・上部内視鏡 | 4万6,200円 | 4万6,200円 |
単独検診・大腸がんCT | 5万7,200円 | 5万7,200円 |
単独検診・PET / CT | 14万800円 | 14万800円 |
単独検診・PET / MRI | 15万8,000円 | 15万8,000円 |
単独検診・肺がん | 3万9,400円 | 3万9,400円 |
単独検診・乳がん | - | 3万1,200円 |
単独検診・子宮がん | - | 4万700円 |
こうした金額を見ると、たしかに定期的な受診の費用は安くはない。そのため、経済的な負担を感じる人が一定数いるのも納得できる。しかし、がん検診は自治体などの補助制度を利用すれば、負担を抑えて受診が可能だ。
補助制度を積極的に利用しよう
基本的にがん検診の補助は、自治体が実施する検診なら自治体から、会社員であれば協会けんぽや健康保険組合から出るケースが多い。ただし住んでいる自治体や所属する健康保険組合によって、補助内容や補助額、補助率などが異なるため、事前に自治体のホームページや企業組合の電話窓口で確認するようにしたい。
例えば東京都江東区であれば、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん・前立腺がんの検診を行っている。受診対象者は、通常費用の1割相当の自己負担金で検診・受診が可能だ。また「住民税非課税の方」「生活保護受給中の方」は、自己負担金が免除される。
また、がんの種類によって受診対象者は異なり、例えば大腸がん検診の場合は「令和6年度内に40歳以上となる区民の方」、乳がん検診の場合は「令和6年度内に偶数年齢となる40歳以上の女性区民の方」となっている。
健康はお金では買えない
がん検診は決して避けるべきではない。特に、十分な資産や所得があるにもかかわらず、経済的な理由で受診を見送るのは望ましくない。健康はお金では買えないし、発見が遅れれば蓄えたお金を使う時間さえ失うかもしれない。
定期的にがん検診を受けるためにも、まずは住んでいる自治体の補助制度などを確認し、しっかりと活用しよう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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