世界中で「無人コンビニ」の導入や実証実験が盛んになりつつあります。ただ多くの人の頭に思い浮かぶのが「商品は盗まれないの?」という疑問。どのような仕組みで無人コンビニは成り立っているのでしょうか。メリットやデメリットも含めて解説します。
世界を驚かせた「無人コンビニ」の登場
ネットショッピングの大手企業が2016年に発表して話題になった無人コンビニ。発表時に公開されたYouTube動画では、来店客がドリンクやサラダなどの食料品を肩からさげたバッグに入れ、そのまま店をあとにする様子が紹介されています。
店員がレジに立って会計を行う従来のコンビニとは全く違う様子が描かれたこの映像は、世界中で話題となりました。しかし、こうした無人コンビニでは商品が盗まれる心配はないのでしょうか。また支払いの仕組みはどうなっているのでしょうか。
なぜ無人でも大丈夫なの?実現した理由の一つが「AI」の進化
ネットショッピング大手が発表したこの無人コンビニは入る際に認証が必要です。自分のスマホのQRコードを読み取らせて入店します。お店側はその時点で、誰が入店したか把握できるのです。
店内には、天井や商品棚などにカメラやセンサーが設置されていて、買い物客がバッグに入れた商品が検知されます。レジはなく、お店を出たら商品の代金がオンラインでキャッシュレス決済されます。買い物客のスマホにレシートがすぐ届き、決済が無事終わったことを確認できます。
この無人コンビニが実現した理由の一つに、AI(人工知能)の進化があります。コンビニの店内では複数の買い物客が常に移動しており、買い物客が手に取る商品も手に取るタイミングもさまざまです。
しかしカメラの画像やセンサーが取得した膨大な情報をAIがリアルタイムに解析することによって、買い物客と手に取った商品を高精度でひも付けています。人間の目ではとても困難な作業をAIにより実現しているのです。
メリットとデメリット、課題は?
無人コンビニにはさまざまなメリットがありますが、最も革新的なことは、省人化とそれに伴う人件費の削減と言えるでしょう。
従来のコンビニやスーパーでは、レジ打ちには必ず従業員が必要でした。しかし無人コンビニなら、働き手が見つけられない都市部はもとより、過疎化が進む地方でも出店できるわけです。
また無人コンビニの場合はキャッシュレス決済が基本となりますので、店側の会計作業や管理の手間の削減にもつながります。
一方で、無人コンビニにはデメリットもいくつか存在します。例えば既存のコンビニを無人化しようとすると、カメラやセンサー、ゲートなどの導入に関する多額の設備投資が必要となります。
また、カメラやセンサーの目から逃れる方法も指摘されています。万引きを防ぐためのセキュリティ面ではまだ一定程度の技術的な課題があります。
ほかにも課題はあります。コンビニでは商品の販売だけではなく荷物の配送や公共料金の支払いなどに関するサービスを展開しています。こうしたサービスを含め、無人コンビニでは難しいこともあるのです。
セルフレジを利用してもらう形態も キャッシュレスを推し進める無人コンビニ
「店員がいない無人コンビニなんて見たことがない」という人はまだまだ多いでしょう。しかし、セルフレジはどうでしょうか。購入した商品の確認は店員がするものの、店員とお金のやりとりをしないセルフレジを利用したことがある人もいるでしょう。このセルフレジも、人の手を介さない、省コストにつながる仕組みです。無人コンビニの一歩手前のあり方といえるのではないでしょうか。
こうした動きはキャッシュレス化をさらに推し進めていくでしょう。セルフレジでは現金での支払いも可能ですが、今回紹介した無人コンビニはキャッシュレス決済が基本です。現金での支払いには受け取るお店側にも、店員が正しい金額を受け取ったか、お釣りを間違って渡していないかなどの負担が生じます。さらに売上を集計して銀行などに預けるといった手間も必要です。買い物客から現金を受け取らなければ、そうした負担は生じません。無人コンビニの誕生と進化も、キャッシュレス社会に向けた動きといえるでしょう。
今後本当に無人コンビニが必要とされるのか、どのような形で広がるのかは現時点では不透明な部分も多そうです。ただ大手企業が取り組んでいる実証実験を通じて課題が浮かび上がり、新しい技術も導入されながら進化していくでしょう。
今はまだ無人コンビニは広がっていませんが、皆さんの家の近くのコンビニが無人になる可能性は近い将来あるかもしれません。
(提供=auじぶん銀行)
執筆者:株式会社ZUU
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