ポイントは「保険料の改定」と「損害区分の細分化」

2017年1月から地震保険の保険料が引き上げられます。保険料改定の背景には、将来の地震を予測する政府の研究機関が地震のリスクをより大きなものに見直したことなどがあります。加入者の負担を抑えるため、保険料改定は3段階に分けて段階的に行われる予定です。

改定のポイントは大きく「保険料の改定」「損害区分の細分化」の2つに分けることができます。

まず、「保険料の改定」についてです。現在、保険料は、都道府県別に7つの保険料区分に分けられています。2017年1月1日以降に保険期間が始まる契約は、それが11区分に細分化されます。

例えば、非耐火構造住宅(主として木造の建物)の場合、一番高い千葉県、東京都、神奈川県、静岡県では、地震保険金額1,000万円当たりの年間保険料が、改定前の年間3万2,600円から、改定後は3万6,300円へ3,700円アップとなります。一番安い岩手県などの20県では、改定前の1万600円から、改定後は1万1,400円と800円アップにとどまります。地域や構造区分によっては安くなるところもあります。

次に、「損害区分の細分化」についてです。先に述べた通り現在の保険金支払いの「損害区分」は、「全損」「半損」「一部損」の3区分となっていますが、改定後は現在の「半損」が「大半損」と「小半損」にわけられて4区分となります。

2017年に値上がりする「地震保険」

建物の被害を例にすると、現在(改定前)は、主要構造部の損害額(焼失・流失の場合は別の判定基準があります)が20~50%未満の場合は「半損」となり契約金額の50%の保険金が支払われることになっています。

改定後は、「半損」が2分割され、損害額が20~40%未満の時は「小半損」とされ契約金額の30%が、損害額が40~50%未満の時は「大半損」とされ契約金額の60%が支払われることになります。いずれの場合も時価に基づく限度があります。

この改定によって、例えば現在契約金額500万円の地震保険を付帯している場合、30%の損害状況でその50%が(250万円)が支払われますが、改定後には30%(150万円)となります。

一方、これまで「全損」に近い49%の損害でも「一部損」に近い20%の損害でも支払われる保険金は「半損」として契約金額の50%でしたが、改定後は、建物について49%の損害の場合は「大半損」として契約金額の60%が受け取れることになります。前述の例でみると、現在は契約金額500万円の50%(250万円)の支払いです。改正後はそれが60%(300万円)になります。なお、損害状況は損害保険会社の専門の調査員が判定します。

「半損」が細分化されることにより、「半損」の保険金額についての不公平感は多少緩和されることになるのではないでしょうか。

「天災は忘れた頃にやってくる」保険料が上がる前に検討してみよう

「天災は忘れた頃にやってくる」といいます。忙しい日々に追われていると、災害・防災について考える時間はなかなか作れないものですが、この機にご家族でじっくり話し合ってみるのも必要ではないでしょうか。(提供: お金のキャンパス

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