空前のネコブームを背景に、ペット産業が沸いている。長寿命化や関連用品の高級化の流れも手伝い、株式市場でも有力な物色の手掛かりとなりつつある。ペット保険のアニコムホールディングス <8715> や病院の日本動物高度医療センター <6039> 、IoT(モノのインターネット)技術で市場を開拓するアプリックスIPホールディングス <3727> などをマークしたい。
ネコ人気がもたらす経済効果は「ネコノミクス」と呼ばれ、その規模を2.3兆円とする試算もある。実際、書店には関連書籍がずらりと並び、ネコと触れ合う「ネコカフェ」も人気だ。ペットフード協会によれば、ネコの飼育頭数は昨年が987万で、減少が続くイヌの992万に迫る。
また、飼い主がペットにかける意識の変化も重要だ。ネコやイヌ向けに完全紹介制の高度医療施設を運営する動物高度医療では、「一匹の動物を大切にする傾向が年々強くなっている」(IR担当者)とする。同社の今3月期第3四半期累計(昨年4〜12月)の総診療数は前年同期比で約11%増加した。
動物高度医療は増額期待も
動物高度医療の第3四半期累計連結営業利益は1.8億円(同33%増)に拡大し、既に通期予想と同水準(前期比16%増)に達している。第4四半期(1〜3月)に赤字が出る見通しもなく、今後の上方修正が濃厚だ。
ペット保険ではアニコムHDがシェア約6割と圧倒的。ペット保険普及率は、先進的な英国の30〜40%に対し日本は5%に満たず、伸び代はまだまだ大きい。また、同社は事業を通じて数十万頭に及ぶペットのデータを保有しており、解析分野でも潜在的な成長余力がある。
ペットフードやペット用品卸のエコートレーディング <7427> 。直近までの業績は厳しいが、今2017年2月期からは前期取り組んだ在庫削減の効果で収益性が改善する方向だ。また、機能性フードなど採算の良い高付加価値商品を強化する。
APLIXは、提携先の米大手ペット用品メーカー向けにIoT機能を提供する。給餌機などの利用状況を外出先から確認することのできる次世代製品として期待され、近く全米最大の見本市にも出展する。今のところ日本では展開していないが、「視野には入れている」(商品担当者)。銘柄としては値動きの軽さが魅力だ。
また、ペット用品・ペットフードでユニ・チャーム <8113> やはごろもフーズ <2831> などのほか、ペット向け再生医療の大日本住友製薬 <4506> や、ネコの行動をモニターする「ねこったー」のシステムで東京コスモス電機 <6772> も面白そうだ。(3月10日株式新聞掲載記事)