投資信託目論見書
(写真=Thinkstock/Getty Images)

証券会社などで投資信託を買う際、投資家が読むのを義務づけられているのが「目論見書(もくろみしょ)」、つまりその投信の説明書である。何に投資しているか、どのように運用し、リスクは何か、手数料や税金はいくらかなど、重要なことが網羅されている。

しかし、投資信託協会のアンケート調査によると、投資信託の目論見書の閲読率は42.3%にとどまっているとのことだ。その理由は「内容が多過ぎ」「わかりにくい」などが挙げられる。

確かに、法的厳密さを保つための言い回しや、読めないほど小さな文字の部分も少なくない。それでも自分の投資についてはしっかり理解しておきたい。ここでは目論見書を敬遠している方向けにその読み方のポイントをお伝えしよう。

目論見書に出てくる「4つの項目」に注目すれば良い

どの投信でも目論見書に記載される項目と順序はすべて統一されており、その内容は「ファンドの目的・特色」「投資のリスク」「運用実績」「手続・手数料等」の4つ。

自分で購入したなら、①「ファンドの目的・特色」は流し読み程度で問題ないだろう。要は、この投信は何々に投資し、利益を上げるために運用担当者は一生懸命やっている、とあるだけだ。他の3つについて詳しくみていこう。

②「運用実績」をまずは確認

記載順序は「投資リスク」の次に「運用実績」がくるが、まず運用実績を見たい。ここでは肝心要の騰落率や、設定来の基準価額(投信価格)、純資産額(投資残高)の推移など、ファンドの運用状況がわかる。株式型投信であれば、主要保有銘柄や業種別の投資比率も載っている。

ただ、目論見書は半年に1回の発行なので直近の状況はつかみづらい。それを知りたければネット証券や運用会社のホームページでチャートや月報(または運用報告書、マンスリーレポートなど)をみる。今年のように為替レートや株価が大きく変動する局面ではとくにチェックしておきたい。

これだけでは運用成績の優劣がわからないので、できれば他の同様なファンドと比較したい。常に成績が悪ければ違うファンドに乗り換えた方がよいこともある。ただ、その場合も半年、1年の短期でなく、設定来など長期で比べることが重要だ。良い実績が将来も続く保証はないが、投信の運用では長期にわたり運用担当者が変わらないため、重要な判断材料になる。

③「投資リスク」他の投信と運用成績の比較を

次に注意したいのが「投資リスク」。リスクというと値下がりなどネガティブな印象を受けるが、上がる可能性を含む「変動要因」と解釈しよう。これは値下がりしたときの「言い訳」にもなるので、ありとあらゆる変動要因が小さな文字で羅列されていることも珍しくない。

分配金を出す投信の場合、まず確認したいのが「分配金額の一部または全部が実質的に元本の一部払戻しに相当する」などの記述の有無である。これがあると、元本を取り崩して分配金を支払っている可能性が濃厚で、合計すると結局損をしているということもあるからだ。投信を買う前にしておきたいが、そうでなければ改めて確認しよう。

ほかに挙げられているのは、価格、金利、為替などの変動リスクで、投資する以上は当然伴うものだが、金利と為替の変動に対しどのくらい影響を受けるかを把握しておく必要がある。例えば円安や金利上昇を当て込んで米国株など海外資産で運用する投信を買った場合、各国の金融政策の変更などで想定が根底から覆ることがある。その場合は、損失を覚悟で売却するなり、押し目買いを入れるなどの対応が必要だ。

また、構造的な個別リスクであるカントリーリスクや流動性リスクは、大災害・政変や企業の国有化、金融不安などの深刻な事態が生じたときに表面化するもので、そうなると投信価格が大きく値下がりすることがあるから注意を払いたい。

④「手続・手数料等」 アクティブ型投信のコストには注意

最後の項目「手続・手数料等」も大事。ここに記載の「購入時手数料」はすでに買った場合は後の祭りだが、これからであれば投信のリターンそのものに大きく影響するので注意したい。株価指数などに連動する形で運用するパッシブ運用型の投信は比較的低コストだが、市場平均を上回る運用を目指すアクティブ運用では3%前後と高くなる点は見逃せない。つまり、リターンが3%以上で初めて利益が出るということだ。

さらに、「信託報酬率」はアクティブ運用で1.5%前後のものが多いが、これは毎年発生するコスト。現在の低金利、低成長時代にこれら全ての費用を吸収して利益を出すのは容易でないだろう。ファンドのリターンが上がらないようであれば、手数料がはるかに安いETF(上場投信)への乗り換えも選択肢として考えられる。投資収益に対する税金はすべての商品で税率が統一されているからとくに気にする必要はない。

以上見てきたように、目論見書はとっつきにくいが、ポイントさえ押さえれば、そう厄介なものでもなく、むしろ自分の資産を守るために有用となる。月次報告書とともに、こまめにチェックすることをお勧めしたい。

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