1月に独自の仮想通貨の発行計画を公にした韓国銀行に続き、オランダ銀行(DNB)がブロックチェーン技術を用いたプロトタイプの仮想通貨「DNBCoin」の開発を検討中だという。年内完成予定という以外に詳細は伝えられていないが、「将来的な仮想通貨と現金通貨の入れ替え」を視野に入れた動きではないかと、一部のメディアは報じている。
こうした動きが各国の中央銀行の間で急速に広がり始めているのは事実だ。ブロックチェーンを活用した集中型仮想通貨の可能性に興味を示しているイングランド銀行のほか、今年に入って中国人民銀行やも独自の仮想通貨の開発や研究を公にしている。法人ではゴールドマン・サックスや三菱東京UFJ銀行が同様のプロジェクトに着手している。
BOE「銀行が発行した仮想通貨は主流になり得る」
DNBは事業に関する様々な可能性を探る「DNBプロジェクト」で、ブロックチェーンの検証を進めてきた。3月16日に発行された年次報告書の中では、ブロックチェーンが新たな収益創造とコスト削減に貢献する可能性について触れ、「既存の収益モデルの改革に役立つ」との見解を示した。
オランダ銀行協会のメンバーでもある決済コンサルタントのサイモン・レリエヴェルド氏は、各国の中央銀行が次の段階に移行しつつあるという見方を強めている。これまでの最新技術の検証という域から、現金排除に向けたデジタル通貨の開発という方向性へと転換しているというのだ。
3月2日にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで開催された演説会で、イングランド銀行(BOE)のベン・ブロードベント政策委員会議長は、ビットコインが主流通貨となる可能性を否定。しかし「銀行が発行する仮想通貨であれば話は別だ」と、ブロックチェーン技術を独自のシステム改革に活用することに対しては、非常に前向きなスピーチを行った。
現在までにJPモルガン・チェースなどを含む42社の銀行によって、ブロックチェーンを利用した取引の試運転が実施されている。今後ブロックチェーンを始めとするテクノロジーへの投資は、ますます拡大するだろう。
しかしテクノロジーの進出に懸念を唱える声は根強い。既に確立された銀行システムと最新のテクノロジーの総入れ替えとなれば、摩擦はさらに強まることが予測される。テクノロジーが及ぼす長期的影響は未知のベールに包まれており、試行錯誤の末に真偽が明るみに出るにはまだまだ時間を要するはずだ。( FinTech online編集部 )
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