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最近ではアリババ(阿里巴巴集団)の150億ドル規模の米国IPOのトピックに注目が集まっていますが、中国国内のM&A市場においてはアリババの他、テンセント(騰訊)、バイドゥ(百度)の3社の動向に注目が集まっています。頭文字をとって「BAT」とも呼ばれるこの3社について簡単にご紹介しますと、テンセントは全世界10億ユーザーを抱えるソーシャル・ネットワーキングサービスを展開し、アリババは総取引額で米ウォルマートに次ぐ世界第二位を誇るオンライン・マーケットを展開、バイドゥは中国最大の検索エンジン運営しており、かつ各社ともその他様々なネットサービスを展開しています。

中国ではインターネット利用者、スマートフォン利用者が今も大きく増え続けています。そして、その成長の波に乗り、インターネットやスマートフォン上でサービスを展開していくことが大きなビジネスとなっています。このインターネット業界の3大勢力がテンセント、アリババ、バイドゥであり、テンセントの年間売上高は日本円で1兆円弱、アリババも1兆円前後、バイドゥの2013年度の売上高は約5,000億円にものぼっています。

この度、テンセント傘下のJD.comが米国で最大17億ドル規模の新規株式公開(IPO)を目指しているということが明らかになりました。一方で、アリババもその上場の行方が注目されています。アリババには日本のソフトバンクも出資しており、アリババの上場観測報道がなされる度に、ソフトバンクの株価が大きく跳ね上がるという光景が見られています。その他テンセント、アリババ、バイドゥはインターネット企業の覇権を得ようと競うように企業買収を繰り返しており、まさに現代版の三国志のような状況にあります。

現状中国では、日本でも2年程前からトレンドになっている「ネット上で情報検索をしてから実際の店舗へ」という行動につなげるO2O(Online to Offline)の動きが高まっており、各社サービス拡大に力を入れている状況です。今年2月にはアリババが中国の携帯地図最大手である高徳地図を完全子会社化すると発表すれば、テンセントもオンライン地図サービス会社の四維図新の株式を取得しました。バイドゥも百度尋航海を傘下に収めています。また、最近では金融ビジネスでも競争を繰り広げています。中国という半クローズドな巨大マーケットで圧倒的成長を続けるこの3社がいる限り、中国のインターネット業界からもうしばらく目が離せそうにありません。

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