教育訓練給付制度,ハローワーク
(写真=Thinkstock/Getty Images)

向上心の強い人は、他人と差をつけたいと思っている。裏を返せば「自分は他人と差をつけられていない」と感じているわけで、「どうしたらそれができるか」と日夜、頭を悩ませている。

会社からいわれたことだけをやっていても、差はつかない。そこで思いつくのが「勉強して、自分に付加価値をつける」ことである。考え方としては正しいが、そこで「勉強する=資格をとる」ことだと勘違いしている人は多い。

資格取得の「心構え」

資格取得で失敗する人のパターンとは、「資格で他人と差はつかない」という事実に目を向けていないことである。資格で差をつけようとするのではなく、資格をとる「目的」で差をつけるのである。

資格をとる目的とは何か?それは「自分はその資格取得を通じてどうなりたいのか」ということである。そのためには、まずは目指す未来像が必要となる。

未来像とはたとえば「その道のスペシャリストになりたいのか」「仕事を認められて出世したいのか」「いずれは独立する布石にしたいのか」といったことである。

未来像が先にあり、そこに近づく手段の一つとして資格取得があるのである。この順番を守らないから、的外れな資格取得を繰り返してしまうのだ。

資格を選ぶ際の基準

では目指す未来像を決め、それに向けて「資格を取得しよう」と考えたとする。そうなった場合、選ぶべき資格の基準となるものを簡単に挙げておこう。

1.自分がやる仕事との関連性

「資格+経験」でようやく売りになることは誰でも知っている。異動で全然違う職種に就くことが決まっているのならともかく、自分の仕事からかけ離れた資格をとっても用をなさない。

資格をとるのは、あくまでも自分の本業にとってより多くの経験を積むチャンスになることでなければならない。

2.将来の見込み、可能性

資格をとるということは、自分のお金と時間を使う行為である。それは投資と同じことであり、投資をする以上は、回収できる前提で考えることが大切である。

ここでいう「回収」とは、金銭面や地位などにプラスの効果をもたらすことができるかということである。

3.自分の思い描く未来に合致しているか

「この資格をとれば人生が変わる」というような発想ではうまくいかない。「現状と自分のなりたい未来像をつなぐものかどうか」と考えることが重要である。

趣味で資格をとる分には構わないが、間違っても仕事の資格を「好き嫌い」で決めることのないようにしたい。

資格を取得する際の強い味方

ここまでお話してきたのは、資格を取得する際の、いわば心構えのような内容である。

前述したように、資格取得とは一種の投資である。投資とは、先に出資した分より大きなリターンを得ることが目標である。上記の「1」「2」「3」を検討し、現実的な資格を選んだとしても、資格をとるという行為が未来のできごとである以上、確実とはいえないのもまた事実である。そう考えると、先に投じるお金が少なくできればその分、未来へのリスクが減ることになる。

そこで、リスク軽減の一環として注目すべきなのが、ハローワークが行っている「教育訓練給付制度」である。これは労働者や離職者が、自ら費用を負担して厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、支払った経費の一部を雇用保険から支給するという給付制度である。

制度には、一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の2種類があり、主に雇用保険の加入期間によって区別しており、給付金額が変わる。

自分で教育訓練給付金対象の講座を探して申し込んでも良いし、ハローワークの方でも、いろいろな資格の学校と提携して専門実践教育訓練指定講座を開講している。意外と知られていないのだが、ビジネススクールと提携し、MBA(経営学修士)を取得できるというコースまである。

たとえばMBAスクールを2年で修了した場合には64万円(32万円/年)、追加支給対象者なら最大96万円(追加支給額は32万円)が支給される。もちろん受講認定基準や、給付にもいろいろ条件があるので、興味のある人は調べてみるといいだろう。

資格取得に成功する考え方

ここまで資格取得に対する考え方や、取得する際に有利になる制度などをお話してきたが、意識して欲しいのが「どんなに難しい資格をとっても、自分の救世主とはなりえない」ということである。

資格は、その道のプロになるための入口であり、入場券のような存在に過ぎないからだ。とはいえ、その道に進みたいなら入場券がないと入れないのも事実。その辺の兼ね合いであなたのキャリアにおける貴重な時間とお金の使い方として考えてほしい。

「この仕事が好きじゃない」と、資格取得を今の仕事から離れるためのきっかけにしようとする人は多いが、仕事の面白みとは、仕事の内容ではなく、自分の仕事をしたことにより返ってくる反応や、自らが発信したことによって貢献できる変化だということを忘れてはならない。

俣野成敏(またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

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