先週発表された主な経済指標

◆4月27日 工業企業利益(前年比)3月 前回(1-2月) +4.8%

3月の工業企業利益(前年比)は11.1%増と1-2月の4.8%増から増加率が大幅に拡大しました。特に3月に工業品売上高の増加や政府による企業コスト減の措置の実施などが3月の工業利益が改善した理由だと考えれらます。

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今後発表される主な経済指標

◆5月1日 中国製造業PMI 4月 50.1 市場予想 50.3 前月 50.2

4月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1と市場予想の50.3に届かず前月から小幅に悪化しましたが、先月に続き好不況の分かれ目である50は上回りました。新規受注(51.4→51.0)や生産(52.3→52.2)、雇用(48.1→47.8)、在庫(48.2→47.4)が揃って小幅に悪化しています。

◆5月3日 財新(Caixin)中国製造業PMI 3月 市場予想 49.8 前月 49.7

5月3日の10時45分に4月の財新中国製造業PMIが発表されます。今回は49.8と3月から小幅な改善が見込まれています。

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マーケットビュー

◆上海株 底堅い展開か HSBCの決算発表に注目

先週の上海総合指数は続落しました。中国人民銀行による連日の大規模な資金供給から追加緩和期待が後退し、売りが先行した上海総合指数ですが、26日に中国人民銀行が中期貸出制度(MLF)を通じて2670億元を金融機関18行に供給したことから一旦反発しました。

しかし、国内3大商品取引所が相次いで新しい規制を打ち出し過熱抑制措置を強化したことなどを嫌気し週末にかけて軟調な推移が続いたことで上海総合指数は週間で0.7%の下落となっています。

先週のハンセン指数は大幅反落となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)が市場予想通りに金利を据え置いたことを受けて28日の取引時間中に年初来高値を更新する場面もあったハンセン指数ですが、追加緩和期待に反して日銀の政策決定会合で現状維持の方針が示されたことや、1-3月期の米実質GDPの成長率が鈍化したことなどが重石となり週末に大きく下落したことで週間では1.9%近い下げとなっています。

今週の月曜日(2日)はメーデーのため、本土市場と香港市場ともに休場となりますが、連休明けの上海総合指数は底堅い展開となりそうです。

1日に発表された4月の中国の製造業PMIが引き続き好不況の分かれ目である50を上回ったことや、習近平国家主席が先週末の中央政治局会議で「株式市場の健全な発展を促す」と明言したことが相場の支えとなりそうです。

これに加え中国政府が企業の売り上げにかける「営業税」を廃止し、売り上げから仕入れを引いた粗利にかける「増値税」に一本化する税制改革を実施し、景気のてこ入れへ大規模な減税に乗り出したことも支援材料となりそうです。

一方でハンセン指数は米国株安や原油安の流れを受けて続落でのスタートとなりそうで、先々週からスタートした決算発表も冴えないものが目立つことから軟調な展開が続きそうです。

こうしたなか3日には欧州の銀行最大手のエイチエスビーシー(HSBC・00005)が2016年1-3月期の決算を発表する予定で、市場の予想通り業績に改善がみられるかが注目されます。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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