映像産業
(写真=Thinkstock/Getty Images)

NTTドコモ <9437> の「dtv」、フジ・メディア・ホールディングス <4676> のフジテレビと提携しているHulu、米大手動画配信の「Netflix」。映画やドラマをパソコンやスマートフォンで視聴できる動画配信サービスが花盛りだ。

その影響もあり、一部の海外作品が世界的なヒットを飛ばしていたり、20世紀に「名作」とされたドラマの続編が製作されるといった動きがある。米国のファミリードラマ『フルハウス』の続編となる、『フラーハウス』の配信が決まっているのは、象徴的だともいえる。

一方で日本のドラマや映画はずいぶんと趣を異にしている。「クールジャパン」という標語の下で、日本のコンテンツを国際競争力のある産業に仕立て上げる政策も進んでおり、もしうまくいけば、日本の映像産業も新しいステージに入るといえそうだ。

そこで日本とアメリカ、あるいは外国の映像産業を比べるとどのように異なるのか改めて調べた。日本のコンテンツ産業の将来を見通す上でも注目の、日米の映像産業の違いを今回は見てみよう。

ハリウッドの巨大な予算とプロ意識

全世界で人気のあるハイクオリティな映像を作り出しているところといえば、アメリカのハリウッドだろう。「ターミネーター」に「アルマゲドン」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」に「スパイダーマン」。数え上げればきりがない。数多くの映画史に残る傑作を生み出し続けている。

ハリウッドが多くのヒット作を生み出せる理由の一つは「規模の巨大さ」だろう。強みになっているのは日本円にして50億円とも、100億円ともいわれる莫大な制作費。最新鋭の特撮技術、とてつもなく大規模なセット、そして俳優やプロデューサーに支払う巨額のギャラ、全てにお金を出し惜しんでおらず、ド派手な演出も可能だ。

ちなみに、1997年に公開された「タイタニック」の制作費は約2億4700万ドル(296億円)。興行収入は全世界で約23億ドル(2760億円)と、収益力もすさまじい。

また、ハリウッドでは製作する作品の傾向も特徴的だ。世界を相手にしていることから、「万人に受け容れられる」ことを大切にしており、文化や宗教的なタブーには敏感だという。そのため、極端に斬新だったり刺激的だったりするシーンは避けられる。絶対に失敗ができないので、チャレンジ作品が少ないとも言われ、シリーズの続編や有名監督の作品が多いのはその証拠といえる。

さらには、俳優らタレント自身のスタンスも重要だ。ハリウッドでは、タレントは自分で自分をプロデュースするのが一般的。日本の芸能事務所のようなエージェンシーも存在するが、タレントは「所属」ではなく「契約」しているに過ぎない。ギャラは完全出来高制で、エージェンシーは制作会社と料金交渉などを行う代わりに、ギャラの15%程度をもらうかたちだ。

プロの野球選手やサッカー選手の「代理人」に近いかもしれない。結果、一流タレントは1本の映画で数十億円を超えるギャラをもらうこともあるという。

「クリエイター」が働く環境も大きく異なる日本と米国

では、日本映画とハリウッド映画の違いは予算だけなのだろうか。だとすれば日本映画もどんどん資金を調達してよりスケールの大きな作品を作ればいいのかというと、どうやらそうではない。

例えば、制作スタッフの待遇だ。ハリウッドで映画制作に携わるためには、数多くのの審査を通過しなければならない。クリエイターたちは限られたその枠に入るため、さまざまな場でしのぎを削り合っている。

つまり、コンテンツ制作にいたるまでの過程で既に数多くのふるいにかけられている。素人には到底手が出せない雲の上の世界だからこそ、高いクオリティーを維持でき、それが確固たるブランドを築くことにつながる好循環が生まれているのだ。

一方、日本の映像制作界は、参入のハードルが低いとされる。ゲームやアニメ、マンガやドラマなど、それぞれの産業が比較的独立して育ってきたことが影響しているようだ。またハリウッドのような確固たるブランドを持っていないため、個人でも制作に参加しやすい。

さらに、それぞれのジャンルの幅が狭い代わりにコンテンツ数は非常に多くなるものの、コアなファンを掴めば事業は成立するという。その結果、10人中1人に受けるようなニッチでマニアックな作品が成り立つのも特徴だという。

一部には、「日本映画の『ガラパゴス化』が加速する」との指摘ともあるものの、今後の日本国内で、ハリウッドとは違う意味で、「クール」な映画やドラマを制作していくことを期待したい。(ZUU online 編集部)

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