米スタンフォード大学の長寿研究所(Stanford Center on Longevity)の調査から、「感情の起伏が激しい高齢層」がネット犯罪などを含む金融詐欺の被害に最もあいやすいことが分かった。

139人を対象とした実験では、誇大広告が高齢者の判断能力を鈍らせ、購買意欲をあおることなどが判明している。

金融詐欺の被害が年間50億ドル(約5346億円)と推定されている中、連邦取引委員会が2011年の被害者の7.3%が64歳から74歳、6.5%が75歳以上だと発表するなど、全体の13.8%を高齢者が占めている。

感情の起伏が「実際に騙されるか否か」を決める

この調査は実験に参加した高齢者(65歳から85歳)71人と若年、中年層(30歳から40歳)68人を3つの感情グループ(「興奮しやすいポジティブ派」「怒りの感情を抱えたネガティブ派」「穏やかなナチュラル派」)にわけ、誇大広告に対するそれぞれの反応を分析したものだ。

誇大広告は年齢を問わず起伏の激しい層(ポジティブ派、ネガティブ派)を刺激する効果があるが、中年層の購買意欲が左右されなかったのに対し、高齢層の購買意欲はナチュラル派と比べて1.5倍高まっている。

多くの誇大広告に消費者を興奮させる「誇張」が用いられていることを考えれば、納得のいく調査結果だが、中年層の起伏の激しい層(ポジティブ派、ネガティブ派)の興奮度は購入意欲には直結しておらず、ナチュラル派よりも広告に興味を示すが購入を検討するとなるとブレーキがかかるようだ。

「軽信性」の測定では高齢者の各グループに大差がでていないことから、広大広告への反応はあくまで個人の判断能力によるところが大きいが、感情の起伏が「実際に騙されるか否か」を決定しているといえる。

高齢者を狙いうちにした詐欺行為は多くの国で増加傾向にあり、犯罪者側もこうした高齢者の心理を巧みについた手法で現金などを騙しとろうとしている。感情の起伏が孤独感やストレスなどの生活環境と隣接関係にあることから、高齢者に金融詐欺への意識を促すと同時に、日ごろから高齢者がリラックスした環境で穏やかな日々を送れるよう周囲が心がけることが、詐欺被害を未然に防ぐのに役立つのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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