2015年の流行語大賞になった「爆買い」。隣国、中国からの旅行客を日本風に形容した何とも滑稽な言葉である。日本の経済にとっては財布のひもが緩むのには大いにありがたいが、それに反比例して「マナーの悪さ」が浮き彫りになってしまっているようだ。
ここオーストラリアでも中国人観光客は雪崩のようにやってくる。果たして日本と同じような「爆買い」が起きているのかどうか、疑問視されるマナーの実態と国内の反応を紹介していこう。
爆買いのお目当ては日本人には想像できないアレ?
まず中国人観光客は買物に使う為の資金をたんまり準備してやってくる。オーストラリア国内の統計でも中国人は、一回の旅行で平均、約7000豪ドル(約55万円)を買い物だけに費やすそうだ。
爆買いと聞くと「売り切れ」という文字が頭をかすめるが、そういえば、スーパーやドラッグストアで赤ちゃん用の粉ミルクが売り切れになっていることがある。まさか、爆買いと何か関係があるのだろうか?
実はオーストラリアで中国人が爆買いする人気商品は、赤ちゃん用粉ミルクなどの「粉末ミルク製品」なのである。実際、中国人の友人もスーパーに行った時、トロリー(カート)に積み上げるように粉ミルクを買っていた。
商品の性質上、税関通過にやっかいな代物ではないかと心配したら、中国には質の良いミルクがないとこぼしていた。オーストラリアではミルク製品の質が非常に高い。粉末と言えども栄養価が高く、何より日持ちがするということで中国人には大人気だというのである。
続いての人気はアグ(UGG)ブーツ、ビタミン製品、せっけん、化粧品などである。特にせっけんや化粧品はオーストラリアの羊毛脂「ラノリン」が使われているものを選ぶのだそうだ。これらを一気に爆買いする中国人。その背景には母国での良品不足と商品価格の高騰がうかがわれるのだ。
豪州での人気の買い物ルートは?
買物が一番の目的とは言えども、やっぱり伝統的な「観光」も外せないのが本音であろう。シドニーやメルボルン、ゴールドコーストやアデレードは中国、香港、シンガポールからの乗り入れが大変便利である。
日本では関空から富士山、そしてお目当ての東京というルートが人気があるようだが、オーストラリアではシドニーやメルボルンがやはり人気が高い。買い物が思う存分できるマーケットや百貨店がずらりと軒を連ねており、オペラハウスやシドニーハーバー、タロンガ動物園などの主要な観光スポットもおさえられる。
ブランドのスニーカーを履きキャリーバッグを足早に転がす中国人。スマホで地図を確認しながら本望である買物スポットへと向かう。そんな中国人の姿はもはや当たり前の光景になっている。店から店へ流れる度にバックが膨らんでいく。
また日中の間にコアラやカンガルーとの記念写真を済ませ、夜になったらカジノで勝負というパターンも多い。なるほど、中国人は「お金」の転がし方を何通りも心得ているようだ。
基本的にオーストラリアは国内線が充実しているので、どの空港からも主要都市への乗り入れが可能である。日帰りは多少きついかもしれないが、3日程あれば何とかワンスポットはクリアできるだろう。
中国人のマナーに疑問の声 眉をひそめるオージー
「日本人は本当にマナーがいいし、礼儀を知っているよね」
オーストラリア人は日本人に対してこんな感想を持っているようだ。中国人と比較してのコメントだろうと感じることが多いのは事実である。
オーストラリア国内でも、中国人観光客のマナーにはほとほとため息が出るといった状況だ。
メディア内でも「粗野」「がさつ」という表現が頻繁に飛び交い、母国でしか通用しないマナーに打撃をくらいっぱなしである。
例えば、写真撮影が禁止になっている歴史的博物館など。中国語で注意を喚起しているのにも関わらず「カシャ!」と撮影。警備員の言葉も聞こえない様子でシャッターを切り続けると言った具合だ。
中国系以外のレストランでは、中国人の団体客を煙たがる傾向もあるようだ。何しろイタリアンレストランに箸は常備していないし、フレンチに酢醤油や唐辛子の要求は難しい。大声でスタッフを呼んで、料理の運ばれてくる順番が違うと中国語で言われても、解決には時間がかかりそうである。
どうやら、どんなお客様でもホスピタリティを持って接しなければならないレストランやホテルは、「我慢」するしか手立てがないようである。
総じて、オーストラリアを訪れる中国人観光客の爆買いは明らかに存在しており、それに付随してマナーに疑問点が大きく残ると言えそうだ。(ZUU online 編集部)
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