米国際資産運用会社PIMCOが、「米国のショッピングモール、ホテル、オフィスを含む商業用不動産 (CRE) バブルは弾ける寸前」との警鐘を鳴らした。

公開市場における変動の激しさ、規制の強化、返済期限を目前に控えた負債などが絡み合い、今後1年にわたり最高5%の値下がりを引き起こすと予測している。

しかしこうした激震が近年の混沌としたCRE市場を一層し、市場参入の新たな機会を創出する--というポジティブな収穫も期待されている。

くすぶるCRE市場一新の機会となるか

2008年の金融危機前後に発行され、償還期限が3年以内に迫っている不動産担保証券(CMBS)の総額は2000億ドル(約20兆9120億円)。それに加え500億ドル(約5兆2280億円)を上回るCRE融資、エクイティファンドの償還期限が控えている米国。

PIMCOのレポートの作成にあたったジョン・マレー氏とアンソニー・クラーク氏は、「中国経済および政治崩壊の危機に対する懸念が資本フローを不安定化させている」と指摘。不安定要素は民間のCRE市場だけではなく、プライベートにも広がりつつあるという。

米国では金融危機以降、不動産バブル期に突入している。需要が供給を上回り、賃貸料も急上昇。一見、順調な成長を遂げているように見えるCRE市場だが、10年という歳月を経て不安のさざ波が嵐に変わろうとしているようだ。

例えば2009年第4四半期と比較すると、オフィス物件価格は2倍に高騰しているが賃貸料は平均15%しかあがっていないという事実に気付く。つまり米CRE市場を盛り上げているのは資本フローということになるのだが、肝心の資本フローが利上げなどへの懸念からとどこおり始めている。

そこに巨額の負債が押し寄せるとなれば、金融機関が最悪の事態を想定しリファイナンス(借り換え)に消極的になるのは当然のことだろう

しかしPIMCOは予測される事態に懸念を示すと同時に、悲観的要素だけを含んでいるわけではない点を強調。

荒波によって、ウミが洗い流された後、CMBSの構造とCRE資産により適切な取引開始地点が創出され、手軽な価格でCREへの投資ができる状況に生まれ変わるかも知れない--と「淘汰の中からチャンスが浮上する」というポジティブな可能性に目を向けている。(ZUU online 編集部)

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