英国のEU離脱問題で、金融市場は大混乱でした。読者のみなさんは大丈夫でしたか? これからどうなってしまうのでしょうか……心配ですね。

英国のブックメーカーでの事前オッズでは、残留派が80%を越えていたのですが、何と結果は離脱派の勝利でした。何でも賭けにしてしまう英国人ですが、今回の賭け金は英国史上最大となりました。

オンライン専用のブックメーカー「ベットフェア」では払戻金総額が史上最高の6000万ユーロ(71億2000万円)。大手の「ウイリアム・ヒル」では払戻金総額2000万ポンド(約31億円)となったそうです。

買った瞬間の宝くじの価値は半分になる?

日本でも今月からサマージャンボが発売されます。

ジャンボ宝くじを購入している人は、本当に多いですね。やはり、購入する人は「自分だけは5億円(前後賞あわせて7億円)が当たる」と思って並んでいるのでしょうか。

もちろん、全員に5億円が当たることはありません。ジャンボ宝くじの1等が当選する確率は1000万分の1ですから、この確率は雷に撃たれて死亡するのと同じぐらいです。つまり、確率的にはかなり低いということですね。

私は、宝くじはもう何十年も買っていません。理由は、勝ち目のない勝負だからです。たとえば「宝くじを全部買い占めたらどうなるのか」ご存知ですか? 買った金額の46.7%の金額が当選金として戻ってきます。残りの53.3%のお金は、戻ってきません。

えっ、ヤバイ!これって胴元である宝くじの主催者に収益の半分以上のお金を取られていると言うことです。内訳はーー収益の39.8%は発行元である地方自治体など。1.2%が社会貢献広報費。12.3%が印刷・販売経費などーーに収められます。

このように50%以上も胴元が取るというのは、ほとんど「ボッタクリ」と呼んでいいでしょう。つまり、1万円分の宝くじは、買った瞬間に半分の5000円以下の価値に下がっているということです。

還元率の高いギャンブルはこれだ!

日本のギャンブルにおける還元率は、世界的に見ても低いことをご存知ですか? 日本で行われているギャンブルの一覧表の「払戻率(還元率)」は下記の通りです(総務省のデータを参照)。

◎宝くじ 45.7%
◎サッカーくじ 49.6%(スポーツ振興投票の実施に関する法律)
◎競艇 74.8%(モーターボート競争法)
◎競輪 75.0%(自転車競争法)
◎オートレース 74.8%(小型自動車競争法)
◎競馬 74.1%(競馬法)
◎パチンコ 85%前後

カジノのゲームの還元率を見てみると
◎スロット 95%前後
◎アメリカンルーレット 94.73%
◎バカラ 98.64〜98.8%
◎クラップス 99.54〜99.086%
◎ブラックジャック 96〜102%

いかがですか? カジノゲームの還元率は、日本のギャンブルよりかなり高いといえますね。

ギャンブルで儲けても税金をとられる?

宝くじとサッカーくじの当選金には、税金がかかりません。でも、宝くじを発行しているのは、地方自治体。まあ、住民税みたいなものと考えれば良いでしょう。つまり100円の宝くじの40%である40円は、地方自治体に払っているのです。

競馬、競艇などの当選金には、所得税・住民税がかかります。つまり実際の還元率は前述の数字よりさらに下がります。実際の話、競馬で儲けたお金を確定申告している人は、ほとんどいないと思いますが。

競馬・競艇などの当選金は、年間50万円以上儲けると一時所得になるので、申告が必要になります。50万円の馬券を買うために他のレースでいくら使ったかは関係ありません。経費で認められるのは、当たった馬券の購入費だけです。

前にこんな事件がありました。
2007〜2009年の3年間に28億7000万円の馬券を購入して、当たり馬券が30億1000万円、収支はプラスの1億4000万円という元会社員がいました。検察側は当たり馬券30億1000万円を一時所得にあたるということで、14億5000万円が課税対象になり、所得税額5億7000万円の申告をしていないということで、裁判で争われたのです。

結果は、有罪判決でしたが、外れ馬券も必要経費として認められました。この判決は、継続的行為から生じた所得なので「一時所得ではなく」雑所得に当たるという判断がなされたのです。結果、所得税額は5億7000万円から約5200万円に大幅減額となりました。

もちろん、この判決は、ちょっと特殊なケースではありますが、競馬も儲けすぎると税金まで取られてしまうということになります。

ちょっと夢のない話ばかりですね。
でも、皮肉でも何でもなく、宝くじは「夢を買う」ものなのです。

理論的には、割に合わない宝くじですが、自分だけは当たると思い込んでしまう人が多いのでしょうね。「買わないと当たらない」と主張する人もいるでしょう。でも、結局は「夢」に終わってしまう確率が高いので、私は買っていません。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)