流動性の低い資産の活性化が好循環を生む

名目GDP成長率と長期金利のスプレッドと、日経平均の上昇率を比べると、きれいな相関関係が見られる。名目GDP成長率と長期金利のスプレッドから高齢化比率を控除すると、地価の上昇のモメンタム(前年比の今年と昨年の差)もある程度説明できる。しかし、名目GDP成長率と長期金利のスプレッドに株価がすぐに反応しているのと比較し、地価の反応はまだ遅れているようである。

リフレを目指すマクロ政策だけではなく、経済活動の反応を良くするため、制度改正などのミクロ政策も重要である。株式と比較し、不動産は流通コストが高いので、リフレの動きに反応が遅いのかもしれない。不動産でも、地価と比較し、流動性のより高いマンションの価格の反応はよい。

一例であるが、流通コストの低下のためには、容積率や取引の規制緩和だけではなく、一般的に不動産仲介手数料が売り手と買い手から両方徴収されている。だが、買い手からの徴収を禁止し、より買いやすい制度にする規制強化であっても有効かもしれない。割安感のある住宅(空き家も含む)の二次流通量が増えれば、リノベーション、耐久消費財、そして住宅ローンの需要も増えるだろう。

流動性の高くない資産がより稼動することにより、需要の増加と資産価格の上昇が好循環していくことで、国富はより強く拡大していくことになる。リフレを目指すマクロ政策に、民間需要がより反応しやすくすることも成長戦略の重要な柱であろう。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部 チーフエコノミスト

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