環境不動産

私募REITが存在感を増しています。三菱地所は不動産投資顧問業の運用資産規模を、2020年度を目途に5兆円に増やす計画を立てています。これは現在の運用資産規模の約2.5倍となります。私募REITは昨年あたりから急拡大してきており、2014年も勢いが衰えそうにありません。東急不動産は3月に「ブローディア・ プライベート投資法人」を設立、ケネディクスも「ケネディクス・プライベート投資法人」の運用を開始しています。現在、地域金融機関も私募リートに資金を私募リートに振り向けています。

なぜ、そこまで私募リートが人気なのか。この問いには大きく3つの答えがあります。1つは市場金利が極端に低いことです。第二次安倍内閣が発足して以来、長期金利は0.6%を行ったり来たりしている状況です。調達コストが小さいため、運用利回りとの利幅もそこそこ確保できるのです。2つ目はインフレーションの可能性が高まってきたということです。物価上昇が起きれば、家賃上昇の可能性も高まります。表面上の収入が増える上に、インフレヘッジにもなり、機関投資家にとってはインフレ対応資産を持たないリスクが意識されてくるのです。3つ目は「価格が市場にさらされていないこと」です。機関投資家は期間を区切っての運用成績を求められます。上場リートでは、投資口価格が市場にさらされ、日々上下するため、タイミングが悪ければ含み損を抱えてしまう可能性があるのです。

しかし、私募リートは非上場であるため、投資口価格はほとんど変わりません。年2回程度の鑑定評価による時価評価があるくらいです。運用担当者からしてみれば、日々の価格変動に戦々恐々とせずに済むわけです。但し、私募リートは上場リートに比べれば、流動性が低くならざるを得ないというデメリットもあります。今はインフレ期待が強いため「しばらくは価格下落リスクはない」という安心感もあり、流動性の低さはそれほど意識されていないのではないでしょうか。なお、私募リートには個人は投資をすることができませんが、私募リートに資金が集まり、不動産市況がさらに活性化すれば、上場リートや実物不動産で運用している個人投資家には少なからずの恩恵があるといえます。

【関連サイト】
不動産市場活況時で存在感を増す私募REIT(リート)とは!?(不動産Online)
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