出前市場
(写真=PIXTA)

政府が女性の活躍推進を成長戦略の主要項目に掲げる中で、家庭の食事を支援する「出前」のニーズが一段と強まりそうだ。単身世帯の増加、高齢化といった社会構造の変化に加え、スマートフォンの普及がインターネットを使った宅配サービスの市場成長余地を押し広げる。夢の街創造委員会 <2484> など関連銘柄をマークしたい。

米国の株式マーケットで今注目を浴びている銘柄の一つが、出前注文サイトを運営するグラブハブという新興企業。収益の急成長を背景に、株価はここ半年でほぼ倍化した。自分のいる場所に出前を届けてくれるレストランやファストフード店を簡単に探し出し、注文まで済ませることができる手軽さが受け、利用者を順調に増やしている。

パソコンだけではなく、スマホの浸透がグラブハブ躍進の素地になった。どこにいてもオンラインにつながることのできる環境が整ったことで、潜在していた消費者の需要が掘り起こされた格好だ。

日本でも、ネットを介した出前ビジネスは今後大きく拡大するだろう。内閣府の消費動向調査によれば、スマホの普及率は2015年度が前年度比6.8ポイント増の67%となり、従来型の携帯電話の比率(64%)を初めて上回った。いずれは米国並みの70%台に乗せると予想される。

さらに、働く女性や高齢者人口の増加といった社会構造も、出前を含めた「中食」への追い風となる。ネットで注文して家まで届けてもらえる利便性が合わさることで、市場は加速度的に広がる可能性がある。民間調査機関による食品宅配サービスの成長予測は、19年度まで年平均2%だが、ネット分野に限ればより高い伸びが見込まれる。

注目企業が、国内最大の出前ポータルサイト「出前館」を運営する夢の街創造。同サイトは加盟店数が約1万3400に上り、年間で1000万を超すオーダー数を誇る。出前需要の多いピザやすしをはじめ、中華、和食など幅広いジャンルの店舗から宅配してもらう食事が選べる。

出前館のビジネスモデルは、加盟店から得るサイト掲載料や、オーダーごとの手数料が主な収入源。手数料収入は、同サイトを通じて食事を注文する会員数の増減に影響を受けるが、7月時点では817万人と前年同月比16%の力強い伸びを示している。NTTドコモ <9437> との提携サービス「dデリバリー」や、アマゾンの決済サービスを利用できる点もユーザーの拡大に寄与している。

夢の街創造(週足)

今8月期の連結売上高は、期初計画を上回る41.5億円(前期比13.3%増)が見込まれる一方、営業利益については会社側が6月に従来の6.5億円から5.7億円(同4.2%増)へ下方修正している。ただ、主因はテレビCMなど広告予算の上ブレで、むしろ来期以降の収益増につながる要素とみることができる。足元で形成した株価の押し目は買い好機と判断したい。

ネットスーパー物流は丸和運輸機関

また、食材の宅配サービスとしては、「ネットスーパー」も出前同様に成長性がある。市場規模は既に1000億円を超えるとみられ、多くの企業が参入している。関連銘柄としては、ネットスーパーの物流に強い丸和運輸機関 <9090> を狙いたい。直近株価は下落したが、中期的には課題のドライバー不足を解消し、一段の業績拡大が予想されることから割安感がある。

このほか、出前サイトで夢の街創造と競合するぐるなび <2440> や楽天 <4755> 、宅配すしを展開するライドオン・エクスプレス <6082> などが挙げられる。(8月9日株式新聞掲載記事)

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