巨大水車や恐竜モニュメントで集客合戦
関東を代表する道の駅として知られるのが、群馬県川場村の川場田園プラザだ。3ヘクタール余りの広大な敷地に直売所やレストランのほか、ビール、パン、ミルク、ピザ、ハムなどの工房が点在し、観光客の人気を集めている。
ブルーベリー農園では7月の収穫時期に摘み取りを体験できる。このほか、SLの体験乗車コーナーやピクニック公園、遊歩道も整備されている。人口3600人の村に年間約180万人が来訪、うち7割がリピーターという人気ぶりだ。
川場田園プラザは「どの年代の人でも楽しめる多様な施設だけでなく、食事は地元の食材を本物の職人が調理し、提供している。これがリピーターの増加につながっているのではないか」と胸を張る。
千葉県南房総市のとみうら枇杷倶楽部も観光農園で広く知られている。イチゴやビワ、ブドウ、トマトの収穫を体験でき、採りたての新鮮果実、野菜を味わえる。千葉県を代表する伝統工芸品の房州うちわやビワの葉染めの体験コーナーもある。
直径24メートル、日本一の巨大木製水車が地域のランドマークになっているのが、岐阜県恵那市のおばあちゃん市・山岡だ。水車を遠くから眺めると、あまりの大きさにまるで観覧車かと見間違えそう。水車目当てに立ち寄る観光客も少なくないという。
地域の高齢者が作った新鮮野菜や手作り商品、定食も充実し、多くのリピーターを集めている。おばあちゃん市・山岡では「巨大水車が集客にひと役買ってくれている」とにっこり。
福井県大野市の九頭竜の名物は動く恐竜のモニュメント。大野市は恐竜時代の地層が広く分布し、多くの足跡化石が発掘されている。それを生かして恐竜の街を観光客にアピールしているわけだ。
大野市商工観光振興課は「モニュメントの効果は絶大。道の駅を訪ねた観光客は化石の発掘場所など恐竜観光に出かけてくれている」と喜んでいる。
このほか、長崎県松浦市の鷹ら島は月に2回マグロの解体ショーを実演、岩手県岩泉町の三田貝分校は廃校となった小学校を道の駅に改装し、レストランで学校給食を提供するなど、あの手この手の集客作戦に工夫を凝らしている。
競争激化で勝ち組と負け組の格差が拡大
しかし、鳴り物入りで登場した道の駅の中には、観光客が予想通りに増えず、苦戦するところが少なくない。農産物の直売が地元農家と競合し、伸び悩むケースも目立つ。財政規模の小さな市町村では、施設建設も大きな負担になる。
兵庫県宍粟市の道の駅山崎は1993年の開駅以来、長く経営状態の悪化が続いていた。このため、運営していた第三セクターの山崎町特産センターが2009年に解散。その後、姫路市の民間企業が運営を引き継いだが、2013年に土地の貸借契約が切れたのに伴い閉鎖された。
宍粟市の道の駅ちくさも指定管理者として運営している住民団体の道の駅ちくさ管理協会が、経営悪化を理由に指定管理の取り消しを市に求めている。市は管理協会に2017年3月末までの運営継続を求めるとともに、新たな指定管理者の公募を始めた。
道の駅山崎は郷土料理とせせらぎ公園、道の駅ちくさはジビエ料理や川遊びを売り物にしていたが、売り上げが伸びなかった。ありきたりの施設では観光客を集められないわけで、競争の激化から勝ち組と負け組の格差が広がりつつあるのが現状だ。
高田泰 政治ジャーナリスト
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関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。
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