キーワード3:「シェアする」
続いて3つ目のキーワードとは「シェア」である。現在は「カーシェアリング」「シェアオフィス」「シェアハウス」などが一般化しつつあるが、それは人にもあてはまる。つまり「才能」「能力」「特技」などをシェアするという発想である。
これからの会社は、ひとつの単位というよりは、「プロジェクトの集合体」という形に変容していくだろう。そうなると、仕事は部署や課で進められることは少なくなり、より個人の能力にフォーカスした人選がなされるようになる。
それはどういうことかというと、たとえばプレゼンの上手な人が、プロジェクトの企画を通すために、あちこちのプロジェクトに呼ばれてプレゼンの仕事を請け負うようになるなど、能力のある人は引っ張りだこになる。そうなると、決まり切った仕事しかしないような人は、やがて仕事をロボットなどに奪われていくことになるだろう。
このような時代の流れに対応するには、「自分の能力をはっきり見極める」ことが重要になってくる。自分ひとりの力には限りがあることを自覚し、自分がやるべきことに力を集中させ、それ以外のことは他人に任せられるようになることが求められる。それぞれが自分の能力を持ち寄り、足りない部分は補い合うという「シェア」発想は、まさに時代にぴったりの思想といえるだろう。
「自分を活かす」ヒントは近くにある
いかがだっただろうか? 実際のところ、キーワード自体はさほど珍しいものではない。重要なのは奇抜なアイデアではなく、自分にとって必要なことを「これは必要だ」と認識できるかどうかなのである。
ところで、筆者がセミナーなどをしているときに、受講生からよく聞かれる質問とは「自分の得意なことが何かわからない」というものである。
それに対する答えは、実は自分の身の回りにある。特に仕事に限っていうなら、「他人から頼まれる仕事」に注目するといい。なぜなら、相手は「この仕事はあなたにお願いするのが相応しい」と思って頼んでくるからである。そこに、自分が活躍できるヒントが隠されているのである。もしそれも分からないというなら、あなたのことをよく知る人物に以下の問いかけをしてみるのはいかがだろうか。
もし私を1日だけタダで自由に使えるとしたら、どんな仕事をしてほしいですか?
俣野成敏(またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。