NISA(ニーサ/日本版ISA)で見直す、流動性=換金性の観点

しかし投資と違って、学資保険は市況を考えなくてもよいという利点があります。つまり、どれだけの金額が返ってくるかということがはっきりしています(終身の死亡保険も同様です)。ですが、ここで重要なポイントをもう一つ、流動性です。保険は預貯金やあるいは簡単に市場取引できるETFとは異なり、現金化しようと思えば、解約の手続きをしなければなりません。また、途中解約すると、不利になる場合が多くなっています。つまり、流動性=換金性が低いのです。

学資保険が対処するのは死亡リスクだけですが、学費が払えなくなる状況で必ずしも一家の大黒柱がなくなっているとは限りません。失職のリスクや、近年では精神疾患のようなリスクも考える必要があるでしょう。このような場合に、学資保険は役に立たない可能性があります。というのも、大学入学時に、と学資を用意していたとしても、その前の時点で躓く可能性があるからです。死亡、以外の一時的なリスクに対する資金需要を吸収する役目には学資保険は向いていません。


NISA(ニーサ/日本版ISA)で見直す、学資の積み立て=学資保険、というわけでもない

全方位をカバーするような金融商品はありません。金融商品を購入するときには、ある一つの目的に対してそれを充足するような商品を購入するのが一般的です。たとえば、貯蓄なら貯蓄、保障なら保障、というように。学資保険はその点で、二つをカバーしている分、上記のような制約があるといってもよいでしょう。

たとえば、死亡という状況に対しては死亡保険を積み立て、それ以外はETFで運用する、というやり方も考えられます(もちろん、普通に預貯金でもよいでしょう)。これなら、子供が進学するまでの時期の学資に対する死亡時の保障と、換金性を同時に追うことができます。そもそも別のタイプの資産で運用しているからです。学費のための貯蓄、という意識付けが必要だという理由であっても、口座を改めて開く、ということで意識付けすることができます。

なかなかお金が溜まらないから、学資保険という形で強制的に貯蓄しておくのだ、という意見もあります。しかしながら、そのような場合には、そもそもの消費性向や貯蓄性向についての見直しから―――生活の見直しから始めるべきでしょう。計画性のある資金管理ができるならば、学資保険の「貯蓄」の側面は薄れます。そして、死亡保障だけなら、終身の死亡保険の方が優秀なのです。本当に、学資保険で将来の進学費用に備えるべきかどうか、NISAをきっかけに見直してみてはいかがでしょうか。

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