パラリンピック,オリンピック,東京五輪
(写真=PIXTA)

一般的に世界的なスポーツの祭典と言えば、オリンピックのことを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。オリンピックは4年に1度しかないうえ、全世界から注目が集まる中で各競技の世界ナンバーワンを決めるイベントとなれば当然なのかもしれない。

ただオリンピックは世界的なスポーツイベントとは言え、身体障害者は選手として参加することができない。そのような身体障害者にも、世界的なスポーツイベントを楽しんでもらおうと開催されるのがパラリンピックだ。

パラリンピックには身体にさまざまな障害を持った選手が参加するため、オリンピックにはない競技や、競技別に設けられた細かな出場条件などがある。

現在開催中のリオパラリンピックも、ついに9月18日には閉会してしまうが、4年後には東京で開催される。観戦する側としてオリンピックだけでなくパラリンピックも楽しむには、パラリンピックがどのような大会でどのような競技があるのか、選手はどんな条件のもと出場しているのかなどの情報を、事前に知っておくとがポイントになるのかもしれない。

歴史から見るオリンピックとパラリンピックの概要

オリンピックは、古代ギリシャにおけるオリンピアの祭典をもととして世界的なスポーツ大会を開催することが目指され、1896年にアテネで夏季オリンピック第1回大会が開催された。

冬季オリンピックは第1回大会が、1924年にシャモニー・モンブランで開催。1994年のリレハンメル大会から、夏季大会と冬季大会が2年おきに交互開催されることになった。

対してパラリンピックは、戦争で負傷した兵士たちが1948年のロンドンオリンピック開会式と同じ日に病院内で行った競技大会が起源とされている。

その後国際パラリンピック委員会が発足、オリンピックとの相互作用による関係強化が目指され、2000年のシドニーオリンピック以降、オリンピックの開催都市でオリンピック開催後に続けてパラリンピックを開催することが正式な義務となった。

パラリンピックの規模やオリンピックとまったく違う出場資格とは

今回の2016年パラリンピック・リオデジャネイロ大会は、159の国と地域・初結成となる難民チームから選手が出場、史上最大規模となる約4300名の選手が集まった。

一方、パラリンピックの直前に開催されたオリンピック・リオデジャネイロ大会は、206の国と地域から約11000名以上の選手が参加。選手数こそパラリンピックの倍以上だが、国と地域の数を見ると、パラリンピックの規模も大きく広がりつつあることがわかる。

パラリンピックに出場するための条件は、パラリンピック独特のものとオリンピックとほぼ同じ内容のものなど、多少複雑で難しい。

まず基本的に、現在は聴覚障害者・精神障害者の出場は認められていない。その他の視覚障害や脳性麻痺・運動機能障害・切断などの障害がある人は出場することができる。この部分はあまり知られていないのではないだろうか。

競技に関する部分についてはオリンピックとそれほど変わるものではなく、定められている参加標準記録の突破や世界ランキングの上位であること、世界選手権など権威ある大会で上位になっていることなどが、出場権を獲得するための最低条件だ。

パラリンピックの出場選手も、オリンピックの出場選手と同様に幾多の困難を乗り越えて出場資格を勝ち取っているということがよくわかる。

パラリンピック、日本の主力競技とは?

オリンピックでは水泳や柔道・レスリングなどが、常にメダル獲得の有力候補として注目されているが、パラリンピックでは主力として水泳や陸上・柔道など、幅広い分野で競技が注目されているようだ。

パラリンピックの水泳は、肢体不自由・視覚障害・知的障害の3つにカテゴリーが分けられている。肢体不自由については程度によって種目ごと10クラスほどに分けられ、視覚障害は3つのクラスに分けられている。

日本水泳陣は、ベテランの名選手や世界選手権で活躍するホープなど期待される選手が多数おり、毎回多くののメダル獲得が予想されている。

陸上競技においても、近年は日本のレベルが向上。肢体不自由のクラスで短距離や走り幅跳びなど、世界トップの成績に匹敵する選手が成長してきているようだ。

陸上競技は視覚障害・肢体不自由・知的障害などにクラスが大別され、肢体不自由の中でも原因が脳性麻痺なのか手足の切断によるものなのかなどで細かく区分されている。

オリンピックと同様にパラリンピックの柔道でも、日本選手はお家芸の国として美しく強い柔道を展開。各階級全てでメダルの期待がかかっている。

パラリンピック柔道は視覚障害者だけで試合が行われる。互いに襟や袖を掴み、組んだ状態から試合が開始されるのだ。

歴史やルールを知ることがパラリンピックを楽しむための第一歩

一般的にオリンピックの開催期間中は、夜中まで応援して自国の選手がメダルを獲得すれば湧き上がるし、世界注目選手のパフォーマンスにも興奮するものだ。

対してパラリンピックは、一部の障害スポーツに理解ある人やスポーツ好きな人など以外、あまり注目してもらえないのが現状であろう。

しかし、パラリンピックも、その競技の出場条件やルールなどをよく理解すれば、選手たちのパフォーマンスがどれほど素晴らしいものなのかがよくわかる。

パラリンピックの素晴らしさや意義を、歴史やルールをもとにメディアは事前に広く伝え、私たちも根本的な部分から知ることができれば、今後の障害スポーツの注目度も増していくのではないだろうか。(ZUU online 編集部)