仕事を持つ社会人にとって「転職」は、一度は頭をよぎったことがあるのではないでしょうか。

転職支援・ヘッドハンターとしての仕事を約8年間経験し、また自身も国内外含め2度転職をしている私が考える、いまの仕事を続けるべきか、転職をするべきか、悩んだ時に考えてみたいポイントをご紹介します。

「いまの仕事・環境でやり切ったか」を判断するのは自分

DAILY ANDSの読者世代の方であれば、これから初めて転職をしようか考えている、という人も少なくないかもしれません。

転職初心者が陥りやすい心理状況の一つが 「いまの仕事・環境でやりきったのか」 という心の葛藤です。特に所属している組織に忠誠心や帰属意識が強い日本人は、必要以上にこのような心の葛藤を抱えてしまいがちなように感じます。

何気なく転職のことを相談した両親、社外の先輩、場合によっては上司に「今の仕事を本当にやり切ったのか?中途半端なことをすると、どこにでも中途半端なままだぞ」というようなことを言われると、転職をしようと考えている自分が間違っているのかな、と思えてくることがあります。

正直なところ 「いまの仕事・環境でやり切ったか」を判断するのは非常に難しい です。仕事は究極的にはゴールがありません。やり始めればきりがないし、突き詰めればいつだってその先が見えてくるからです。ですからあくまで自分の主観で判断するほかありません。

そんな時に、どうしたらできる限り客観的に『やり切ったか』どうかを判断しやすくなるポイントをご紹介します。

初心にかえって3つのポイントから考えよう

「今の仕事を続けるべきか、転職するべきか」を悩み始めた時には、まず初心に返ってみましょう。 ごく当たり前のことを言うようですが自分が現在の会社に入社を決めた時、または入社したばかりの頃に、自分自身はこの会社での仕事を通じてどのような経験をして、何を得たいと考えていたかを、振り返っていただきたい、ということです。

具体的には下記3つの側面で考えてみてください

ポイント①:仕事を通じて得られるスキル・知識・具体的な経験

現在の仕事を通じて得たいと思っていたのはどんなスキルだったでしょうか。営業やマーケティング、経理や人事など、職種に応じて得られるスキルは異なります。また現在の会社・職種はどんな業界に関わっているでしょうか。それによって日々触れ、蓄積されていく知識は異なります。また現在の仕事で具体的にどんな経験をしたい、どんなことを達成したい、はたまたどんな自分になりたいとイメージしていたでしょうか。

ポイント②:上司や同僚から得られるスキルや刺激、新たな考え方や価値観

仕事は多くの場合、上司や先輩社員、同期など、それぞれに役割をもった同僚と関わりあいながら進めることになります。そうした自分を取り巻く環境、特に「人」から得たいと思っていたことは何でしょうか。

ポイント③:仕事を通じて関わる外部の人脈(顧客やパートナーなど)

社内の人間関係に限らず、現在の仕事を通じて関わる社外の人脈が、将来いろいろな形で自分のキャリアにつながることがあります。

現在の自分の顧客が将来他の仕事でも顧客になったり、逆の立場になったり。場合によっては同僚になる可能性もあります。そんな様々な可能性を考慮して、現在の仕事で構築できる外部の人脈は作りきったと言えるでしょうか。

①・②・③の観点から振り返った時に、自分自身はもうここで得られるものごと・経験を得きった!と言えるようであれば、ぜひ積極的に次の自分の活躍の場を探しましょう。

一方、振り返っていて、そういえばあれはまだやってなかった、そうだこうしたいと思っていたのにすっかり忘れていた、というようなことが思い当たった方は、ぜひ今一度「自分が今の会社・仕事で得たいこと」を明確にして、もうしばらく、それを得切った!と言えるまでその環境で仕事を続けることをおすすめします。

場合によっては、それをいつぐらいまでに得るのか、達成するのか、期間的な目処を立ててもいいかもしれません。

できれば、会社に入社する前、新しい仕事につく前にはかならずこの3つのポイントについて考えておくと、のちのち転職を含めた自身の次の仕事やキャリアを考えるタイミングにに、冷静な判断がしやすくなります。

冷静な判断で悔いのない選択を

多くの人にとって、そう何度も経験するものではない「転職」。今の会社・仕事でもう少しがんばるのか、それとも次の環境に飛び込むのかを、いまの自分の状況・状態をできる限り客観的に冷静に捉える中で判断して、悔いのない選択をしたいですね。

小川麻奈
日本生まれ、日本育ち、シンガポール在住。転職支援・中途採用支援、ヘッドハンティング、女性支援、プライマリーリサーチ等のビジネスに従事。「あなたの”なりたい”がかなう」Girls Bee創立者兼代表。

(提供: DAILY ANDS

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