中国不動産

今年に入り景気低迷がより顕著な中国。2008-09年に行なった大規模な刺激策が債務問題や不動産バブルを招いたという苦い経験から、現在中国では大規模な刺激策を取られてはいません。その代わりに、鉄道や住宅関連への支出や税制優遇策の適用拡大などの「ミニ刺激策」によって、景気支援が行なわれています。しかし、その「ミニ刺激策」の規模がここへきて拡大し始めてきており、当初の様相とは異なるようになってきています。

中国の「ミニ刺激策」は、一時的な景気の押し上げを狙ったものではなく、経済構造改革による持続的な経済成長を視野に入れた政策です。そして、それにより中国政府が掲げる7.5%の経済成長目標を確実に達成することを目指しています。しかし、この「ミニ刺激策」は、大規模な刺激策と比べると規模も小さく効果が限られるという問題点があります。ですので、景気に下振れリスクがある局面では、広範囲にわたる様々な措置を同時に打ち出すことが必要となってきます。

今年4月に「ミニ刺激策」が導入されてからも、相次いで新たな措置を打ち出してきているのも、中国政府がまさにこの景気の下振れリスクを強く意識し、対処し始めたことに他ならないと思います。そしてまた、中国政府が7.5%の経済成長の実現を強くコミットメントしている以外のなにものでもありません。そう考えるのなら、「ミニ刺激策」が行なわれるセクターの改善を通して、中国経済全体へのプラスの効果が波及することで、中国の景気が遅かれ早かれ上向くことが期待できます。そして、もし仮に中国景気が下振れするようなことがあれば、引き続き既存の「ミニ刺激策」の強化や新たな措置を投じることにより、下振れを食い止め持続した経済成長を目指していくことも予想できます。大規模な刺激策と比べると「ミニ刺激策」は劣って見えます。しかし、そのいくつもの小さな政策を束ねてその影響力を考えてみますと、副作用も少なく決して侮ることの出来ない政策だと思います。

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