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(画像=Webサイトより)

結婚や定年退職など人生のステージがきっかけとなり、保険を見直す人は多いはずだ。しかし逆にいえば、何かのきっかけがないと、保険の検討や見直しはつい後回しにしてしまうのではないだろうか。そこで短時間で読める新書で知識を蓄えることをお勧めしたい(文中の価格は紙版、税込み)。

国民皆保険制度は安泰なのか?

『医療政策を問いなおす:国民皆保険の将来』 (島崎謙治著、ちくま新書、994円)

国民皆保険は当たり前のこととして私たちの生活を支えている。しかし米国のように事実上公的保険制度がない国も少なくない。医療政策の理論と実際に通じた著者は、国民皆保険制度の構造を考察。世界最高レベルの平均寿命と先進的な医療水準を実現した優れた医療制度がありながら、人口構造や政治・経済的な状況の変化から制度疲労を起こしている実態を次々と指摘する。

医療費の増大も重なり制度を維持できない危機を描き、今、私たちは何をなすべきなのか。医療政策のあるべき方向と道筋を明快に展望している。気軽に読める一方、保険のあり方を全体として理解できる本書は、日々の生活の中で、ふと立ち止まって考えることの重要性を説いている。

保険料は、必要最小限以上、払うべきではない!

『生命保険とのつき合い方』 (出口治明著、岩波新書、842円)

ライフネット生命保険会長兼CEOという要職にありながら、多くの著作が話題となっている著者が「生命保険について本当に腑に落ちたことのすべて」と述べた一冊。著者は、保険業界で40年以上仕事をする一方、金融制度改革で保険業法の改正を実現させた政策通でもある。

本書では、生命保険のやさしい解説から入り、最低限知っておくべき知識を伝授。必要な保険金額の計算の仕方、加入者にとって望ましい加入期間、他の生命保険への乗り換えのタイミングなど、平易な語り口で説く。著者の姿勢も明確で、「衣食住に不自由しているのに生命保険を買うのは根本的に間違っている」としてうえ、「毎月支払う生命保険料の合計は、手取り収入額の3〜5%程度にとどめておくことが肝要」とするなど、保険の基本を学ぶには、格好の良書だ。

ちなみに著者は歴史通でも知られ、仕事に効く教養として、歴史を学ぶ大切さを説き、ベストセラーを連発。こちらも手に取れば保険のみならず、人生全般のリスク回避策として学べる。

保険って本当に必要なの?

『バカしか入らない生命保険』 (三田村京著、祥伝社新書、842円)

電車の中吊り広告など週刊誌の見出しだけを見て、中身を読まない人も多いだろう。この一冊も素通りすると、もしかして損をするかもしれない。

著者は、元大手生保会社勤務。業界事情を知り尽くした結果、保険は高額商品なのに、商品の構造を理解している人はほとんどいない。損をしない保証はあるのだろうか?保険は入りさえすれば安心なのだろうか、と疑問を突きつける。保険はどれも同じと考えて、漫然と加入している人にとっては強烈なカウンターパンチだ。

運用実績と利払いが見合わない苦しい業界のウラ事情も暴露。しかし、本書から読み取れる結論は、いたってまともだ。少ない掛け金で済んでしまう保険のからくりが分かると、慌てることなくさらに知識を蓄え、備えたくなる。

これで業界事情通になれる!?

『保険会社が知られたくない生保の話』 (後田亨著、日本経済新聞出版社、918円)

業界の勢力図やランキングなどを解説した「業界本」が最近、人気だが、その走りとなる一冊。生命保険のカラクリや、業界の裏話まで明らかにしたうえ、保険がどのようにできているかを納得させてくれる。

著者は生保会社の営業マンとして長年勤務した保険コンサルタント。正しい保険選びのコツを具体例を挙げながら説いていく。テーマは、なぜ、広く、長く入ってはいけないか、「元本割れしない」に惑わされてはいけない理由、販売員は、売ったらほとんど退社する、などどこから読んでも興味を引く。

お金があるなら、入る必要なし?と掲げているのは、結局自己資金の使い道を自由に設計できるようになりたい、との願望だ。金融商品のリスクヘッジにつながる、こうした目線を養うには貴重な一冊である。

保険好きですか? 嫌いですか?

『保険ぎらいは本当は正しい』 (横川由里、長尾義弘、SB新書、853円)

生命保険は「人生で住宅に続いて2番目に大きい買い物」と言われるが、勧誘されるままに入っていたり、必要ない補償をつけていたりということはよくある。本書では、「保険の選び方・見直し方」はもとより、保険に関する本があまり触れてこなかった「保険に代わる運用の仕方」まで紹介している。

キャッチコピーに「『保険ぎらい』というそのなんとなくの感覚は、意外と正しい!」とあるが、この感覚を持っている人は結構いるのではないだろうか。筆者は「保険ほどディスクロージャーがなく、不透明すぎる金融商品はない」と言うが、そうした点も何となく嫌われている理由かもしれない。

だからといって食わず嫌いで「入らない」でいいとは言い切れない。仕組みや選び方を(入らない、という選択肢を含めて)しっかりと考えるべきだろう。

著者は、中立的立場から保険商品のベスト&ワーストを投票、実名でランキング形式で発表するムックなどにも関わっている。これは保険のジャンルごとに“選んではいけない”ワースト商品と、“選んで悔いなし”のベスト商品が分かるとあって人気シリーズになっている。(ZUU online 編集部)

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