ノーベル経済学賞
(写真=PIXTA)

2016年10月3日、ノーベル医学生理学賞に東京工業大学の大隅良典栄誉教授が選ばれ、にわかに「オートファジー」の解説が世間を賑わした。ノーベル賞はこの医学生理学賞を皮切りに、4日の物理学賞、5日の化学賞、7日の平和賞、そして10日の経済学賞と受賞者の発表が続く。

なお、文学賞の発表日は慣例により後日明らかにされる。ここでは10日の発表を前に、これまで日本人の受賞者がいない経済学賞について整理しておくことにしたい。

日本ではノーベル経済学賞の賞金のみ「課税される」

経済学における最も権威ある賞の一つである経済学賞は、医学生理学賞や物理学賞などと同じ「ノーベル賞」だと思われがちだが、実は授賞が始まったのは他の分野よりも遅い1969年のことだった。

経済学賞はアルフレッド・ノーベルの遺書に記載されていたわけではなく、ノーベル自身が設置・遺贈したものでもない。そのため賞金はノーベル基金ではなく、スウェーデン国立銀行から拠出されており、賞の正式な名称も「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」とされている。

ただし選考については、ノーベル化学賞や物理学賞と同じスウェーデン王立科学アカデミーが行っており、メダルもデザインは異なるものの、やはりアルフレッド・ノーベルの肖像が刻まれている。賞金額も同じだが、日本では「経済学賞の賞金はノーベル基金からではなく、スウェーデン国立銀行からのものであるため、非課税対象とはならない」ということになっている。