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(写真=PIXTA)

「現物給与」とは、「金銭以外で支払われる給与」を指しますが、ほとんどのビジネスパーソンは、給与を「現金・口座振込」で受け取っています。そのため「現物給与」が自分には関係のないテーマだと思う人も少なくありません。

しかし、現物給与の代表格と言っていいのが「社員寮」だということをご存じでしょうか。現物給与について、正しい知識を身に着けましょう。

現物給与とは

現物給与の分かりやすい例には制服などの「モノ」がありますが、割安で利用できる社員食堂なども現物給与に含まれます。「(食べ)モノ」以外に、「権利」も現物給与に入ります。

たとえば、企業が提携しているリゾート施設を安く利用できる場合などがありますが、「福利厚生」とどう違うのか、社員に質問されたときに答えられないと困ります。

「現物給与」と「福利厚生」は呼び名の違いで、実態としてはほぼ同じと考えて差し支えありません。そのため、福利厚生の一環である社員寮も、現物給与の一種です。

税金の取り扱いは?

給与と名がつく以上、現物給与にも「所得税」がかかります。ただし、ここに関してはいくつかの基準が存在し、現物給与の種類によって考え方が異なります。たとえば、先にあげた社員食堂(「食事の提供」にあたる)については、

「従業員らが支給される食事の価額の50%以上を負担していること」
「食事の価額から従業員らの負担額を控除した額が1ヵ月あたり3,500円以下であること」

以上、2つの要件を“両方とも満たす”場合は、社員食堂で供される食事は非課税となります。

では、社員寮の場合はどうでしょう

支払う家賃が「賃料相当額」の50%未満である場合、「『賃貸料相当額』から『社員が支払った家賃』を差し引いた額」に対し所得税がかかります。「賃料相当額」の算出方法はやや複雑ですが、通常社員寮の建物や敷地の固定資産税等から導きます。

社員寮の家賃は、周辺の家賃相場の20~50%程度が相場といわれています。賃料相当額が周辺の家賃相場程度だった場合、多くのケースで所得税がかかる見込みが高いといえるのです。